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悪と善と妹(仮)  作者: 結城コウ
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妹(仮)

「お兄ちゃん?」

真白の第一声はそれだった為、此方は固まってしまった。

「!?き、キミは……!」

真白は起き上がり、此方にステッキを向けた。

「…………」

真偽など、最早どうでもいい。

「……どういうつもり?」

「撃たないのか?」

仮に玲の仮説が合っているのなら、それでもいい。

合っていなくとも、もう真白とは戦えない。

「キミはどうして、ましろを……」

「兄がいるのか?坂本真白」

「!?……キミには関係ないでしょ?」

「どうかな?」

真白は怪訝(けげん)な顔で此方を見ている。

「キミは一体……?」

「さて……お前にとっては何になるのか……」

「何が言いたいの!」

「……質問を戻そう、兄がいるのか?話はそれに答えてからだ」

「…………」

答えずに此方の真偽を見極めようとしているのか、真白の目が鋭くなった。

「……答える気がないのなら、それで構わない。俺を殺すなら好きにしろ。抵抗はしない、俺にはもうお前は殺せそうにないからな」

母を殺した後は誰でも殺せると思っていた。

だが、殺されたがった母を殺せても、殺されたがっていない妹は殺せない。

事の真偽はどうであれ、それが此方の真実だった。

「……どうして?」

「その質問は先に答えてからだ」

真白はため息を()いた。その仕草が此方に似ていて、少し衝撃を受けた。

「……お父さんもお母さんもましろは一人っ子だって言う。だけど、どうしてもそれを信じられない」

「兄弟がいると思っているのか?」

「キミの言う通り、ましろはちいさい頃にいたはずのお兄ちゃんを探してる」

「そう、か……」

確信には至らない。ただ、此方に暗示を掛けて周囲へのフォローを忘れずに此方をだまし切った事を考えると真白の側にも同じ事をしていると考えるのが自然だろう。

「奇遇だな。俺も妹がいなくなったんだ」

「え……」

奇遇だ、なんて心にもない事を言ったものだと思う。

「それが、理由だよ」

「な……え……キミが!?」

「証明する方法はない。だが、今この現状が俺の答えでもある」

「……」

仮に血縁だというのなら、前述の通りDNA鑑定でもすればいい。

ただ、父の目的を考えれば、血縁関係がなくとも、過去に一緒にいた可能性はある。

考えれば、父も母も口振りこそ実の子のように扱っていたが、それは此方に呪いを打ち込む為の演技でもおかしくはない。父と母の所業を考えるのなら……

「……きっと、そうなんだろうね。少なくともキミの中では」

「……」

「でも……信じたくない。だってキミは仲間を殺した。それもついさっき、ましろが間に合わなかったばっかりに沢山殺した……っ!」

「それについては言い訳するつもりはない。そして(かえり)みる事もないだろう」

「……でも、ましろもキミがお兄ちゃんかも知れないって、知らずにキミを殺そうとした」

「悔いているのか?」

「……わからない。でも、だからって、キミがお兄ちゃんだとしてもキミを許す事は出来ない…………でも、キミと戦う事ももう出来ない」

「別に許さなくていい」

「!」

「互いに立場がある以上、仕方がないだろう?俺だって俺なりの事情があって色々やったしまったんだ。それは真白だってそうだろう」

「…………」

「答えは出さなくてもいい。ただ、こんな形でもまた逢えた事は嬉しいんだ」

「!!…………お、お兄ちゃん……」

「真白はどうなんだ?こんな形では嫌だったか?」

「…………嬉しいよ、でも!」

「だったら、今はそれでいいじゃないか。いつかは殺し合わなければいけないとしても、今する必要はないんじゃないか?」

「…………突然で……頭の中、ぐちゃぐちゃで……でも……でも……キミの事、お兄ちゃんだと思い始めてる……だって……ずっと探してた、お兄ちゃんだもん」

「……ましろ、ごめんな、色々」

自然と抱き合っていた。頬が濡れている事に気付いたのは暫く経ってからだった。


「キミがお兄ちゃんだって確証がなくても、ましろはもうキミをお兄ちゃんとしか思えなくない。多分、それはそれが間違いでそれが証明されない限りはずっとそうだと思う」

「それは俺もそうだ。だから……今はここで別れたほうがいい」

「……どうして?」

「そうすれば、戦わずに済むだろう?」

「お兄ちゃんは……これからどうするの?」

「やる事は変わらない。止まる事は出来ないから、いつかはまた敵になるだろうな」

「……どうして」

「それは……」

話すべきか、躊躇(ためら)いがあった。だが、話さない訳にはいかないだろう。

「親父達の望みだからだ。」

「!……お、お父さん?それって、ましろの本当の……?」

「真白が“そう”なら“そう”なる。それにその親父達も含めて犠牲は支払われてる。だから、俺は……戦い続けるしかない」

「そんな……」

「親父達は、これは人類の存続の為だと言っていた。真白が“そう”なら真白にもその役割があるんだと思う。だから、いつか道は交わるさ」

必ずしも、味方としてとは限らないが…………

「…………それは今じゃ駄目なの?」

「駄目だろうな。俺達が望んでも世間が許してくれないだろう。お互い、立場があるだろ?」

「……だとしても!理由があれば別じゃないかな!」

「理由?」

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