蘇生
「ぐっ!」
パワードスーツの装甲に守られているとはいえ、墜落の衝撃には歯を食いしばった。
場所は想定した通り、無人島の内部、木々が生い茂る森の中だった。
バトルモードを解除する事で銃とカートリッジだけを残し、パワードスーツは転送された。
バトルモードの際の転送にはエネルギーを必要としない。
何故なら、バトルモードのコスチューム、パワードスーツ自体に転送装置が内臓されている為だ。
但し、汎用性は高くなく、装着と解除の際しか使えず、それ自体の転送しか行使出来ない。
パワードスーツが転送した事で此方は取り残されたように大の字で寝ていたが、いつまでもそのままという訳にはいかず、起き上がるといないはずの者がそこにいた。
「坂本真白……何故?」
気を失ったままの魔法少女に駆け寄る。
――息がなかった。
『アクトおにー……』
咄嗟に少女を仰向けにし、心臓に向けて掌を何度も押し込んだ。
そして、少女の鼻を撮んで口から空気を送り込んだ。
……ところで我に返った。
「……なんで、俺はコイツを助けようとしてる?」
『やるのなら、最後までやったらいいと思う』
「玲?」
『でないと、後悔するよ、きっと』
「……」
その言葉は何故か腑に落ち、心肺への圧迫を再開した。
何度か続けて、真白は蘇生した。
それを見届けると手頃な木の元に座り、寄りかかった。
身体中から出ている汗の感触が気持ち悪い。
戦闘の数倍疲れた気がする。
「玲、俺はどうして助けたんだ?」
『……助けたかったんでしょ?』
「殺そうとした相手を、か?」
『気が変わった、とか』
上を見上げると、心地いい風が吹いた。
「なら……アイツはなんで此処にいる?」
『此方の転送に感応し、一緒に跳んだの』
「どういう事だ?アイツは今まで転送なんか……」
『ステッキに反応した』
「!?」
『あのステッキ……形状がパワードスーツのランスに似ていると思わないかな?』
「……カニバサミだけだ。似ているのは」
『でも、魔法少女は転送した。それはステッキがあったからだよ?』
「何がいいたいんだ?」
『…………アクトおにーちゃんだって薄々感づいているんじゃないの?』
「何が、だよ……?」
『そう……普段勘のいいアクトおにーちゃんでも、気づけなくなってる、か……』
「玲、だから、何がいいたいんだ?」
『……強力だって事だよ。暗示が』
「――――」
何を言っているんだ、そう口にするより先に玲の考えが脳裏に浮かんだ。




