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追加武装
辻和菜が昏倒している内に右腕に残っている枷と足の枷を壊して外した。
『それで、これからどう動くの?』
「コイツを人質に武装と転送装置を取り返す」
『上手くいく?』
「想定では、な」
辻和菜のポケットを漁り、携帯電話を取り出す。
『その後の事は?恐らくだけど転送装置の残量では跳んで戻れる距離ではないよ?』
「追加武装を呼び出す。予定では一週間で完成しているはずだ」
『追加武装……そうか、あれなら』
靴底に仕込んでいた薄いナイフを取り出す。
以前の三橋遥香の準備不足を反面教師として、使える武装を母に倣って自分も仕込んでいた。服に仕込んでいたナイフは回収されたようだが、靴底にまで仕込んでいるとは思わなかったようだ。加えて、この特性のナイフは形状としてインソール(中敷き)と誤認しやすく、特殊素材によって金属探知にも反応しない事で現状のような他の武器が望めない時の最後の砦として残っていた。
「行動を開始する。玲、周囲の警戒を頼む。」
『わかった』
霊体である玲は閉まった扉や壁をすり抜ける事が出来る。
船の内部を熟知していない此方にとって、それは有用な要素だった。
『OK、今は外の通路に誰もいないよ』
「了解。以降は意識下で語り掛けに切り替えるぞ」
『うん』
昏倒する辻和菜を抱え上げ、部屋を脱出した。




