41/59
仇-あだ-
その推測は希望的観測ではなかった。
「……睡眠剤の代えはどこにあっただろうか?」
「え?此処にはありませんよ」
「む、持ってくるのを忘れてしまったか」
「大丈夫でしょう。また一週間は目覚めませんよ」
「そういう訳にはいかぬ。一度投与された薬の耐性を作る程度はやってのけるやも知れぬ」
それは恐らく方便だ。だが、此方としては事実に近い。
「そんな事って……」
「『悪』とはそれ程までに曲者なのだ」
「そ、そうですか……では」
「うむ。某の部屋から持ってきてもらえぬか?」
そう言って辻は男に鍵を差し出した?
「え!?し、しかし、辻殿の部屋に入るなど……わ、私が此処に残りますので……」
「某は此処から離れやせぬ。離れられぬ。故に、某に用意された部屋など物置に過ぎぬ。故に、そのような事を気にかける必要などない」
「……わ、わかりました」
男は鍵を受け取り、渋々といった態度で部屋を出て行った。
辻和菜はそれを確認すると一呼吸ついた。
――そして、鈴が鳴った
辻和菜の腰に刀が現れ、彼女はそれを抜くと此方へと歩を進めた。
そして、辻和菜は目を閉じた。
「遥香、貴女の無念を今――!」
辻和菜は開眼する。
そして、その時、見たものは、その刀の切っ先に自らの左腕を突き刺すアクトだった。




