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悪と善と妹(仮)  作者: 結城コウ
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仇-あだ-

その推測は希望的観測ではなかった。

「……睡眠剤の代えはどこにあっただろうか?」

「え?此処にはありませんよ」

「む、持ってくるのを忘れてしまったか」

「大丈夫でしょう。また一週間は目覚めませんよ」

「そういう訳にはいかぬ。一度投与された薬の耐性を作る程度はやってのけるやも知れぬ」

それは恐らく方便だ。だが、此方としては事実に近い。

「そんな事って……」

「『悪』とはそれ程までに曲者なのだ」

「そ、そうですか……では」

「うむ。某の部屋から持ってきてもらえぬか?」

そう言って辻は男に鍵を差し出した?

「え!?し、しかし、辻殿の部屋に入るなど……わ、私が此処に残りますので……」

「某は此処から離れやせぬ。離れられぬ。故に、某に用意された部屋など物置に過ぎぬ。故に、そのような事を気にかける必要などない」

「……わ、わかりました」

男は鍵を受け取り、渋々といった態度で部屋を出て行った。

辻和菜はそれを確認すると一呼吸ついた。

――そして、鈴が鳴った

辻和菜の腰に刀が現れ、彼女はそれを抜くと此方へと歩を進めた。

そして、辻和菜は目を閉じた。

「遥香、貴女の無念を今――!」

辻和菜は開眼する。

そして、その時、見たものは、その刀の切っ先に自らの左腕を突き刺すアクトだった。


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