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かつて

――――この世界にヒーローは存在しない。

今から三十年程前には、世界はヒーロー、ヒロインと悪の秘密結社に溢れていた。

世界を混沌に陥れようとする者たちとそれを阻止せんとする者たちの戦いは単体の力で勝るヒーロー、ヒロイン側が少しづつ、しかし着実に悪の秘密結社を追い詰め、一つまた一つと悪の秘密結社を壊滅に追いやった。

そんな中、生き残った悪の残党達はその力を集め、大掛かりな反攻作戦を実行に移した。

それに応じるようにヒーロー、ヒロイン達も集まり、それを迎え撃った。

後に『終焉の五日間』と呼ばれる、激しい戦いの後にヒーロー、ヒロイン側が勝利。

これにより、ヒーロー達と悪の戦いは終結し、悪の陣営はさらに数を減らしほんの僅かな残党を残すのみとなった。

だが、それからヒーロー達はその役目を果たしたかのようにその力を次々と失っていく。

原因は不明。

原因がわからないまま、世の中にはヒーローはいなくなった。

平和を享受する一般人を除き、世界に残ったのはヒロイン達と僅かな悪の残党だけだった。

そして、二神アクトはその悪の残党である。