呪い-まじない-
――その数十分前。
若月聖はある本といくつかの雑貨を手にかつて自らが通っていた小学校に侵入した。
聖は小学生の頃、学校のセキュリティに穴があるという話を聞いていた。
それはその頃の小学生達には有名な話で、よくその穴を利用して小学校に侵入し、肝試し等をやる者も多かったらしい。
聖は実際には使わなかったが、その侵入経路についてはよく話題にあがっていた為、知識として知っていた。
そして、現在もそのセキュリティの穴がなくなっていない事を聖は半ば確信していた。
校舎の老朽化が進み、補強等に予算が回されている為、セキュリティの改善にまで手が回っていないと聖は予想していた。
そして、その予想は正しく、聖は校舎への侵入を果たした。
聖が夜の小学校を訪れた理由はただ一つだ。
聖は家の書庫に魔法や超能力関係の本がある事を不思議に思っていた。
聖は父親が元『悪』の組織だという事を知らなかった。
とはいえ、中身のほとんどは専門書でしかなく聖の知らない異国語の本も多く、それらには聖は大して興味を惹かなかった。
だが、一冊、聖が幼少の頃から愛読していた本があった。
それは子供向けのおまじないの本。
中身は可愛らしいキャラクターが色々なまじないを紹介するというもので、幼少の聖は読んでいるだけで楽しい気分になっていた。
実際に試した事もあり、その中の幾つかは本当に効果があり、聖はますますその本を気に入った。
それは当然だった。
その本は『悪』の組織が作ったもの。
中には効果のない物、効果のある物の他に内容とは関係なく、人に害を与える物もあった。
光治郎氏がそれを所有していたのは『悪』の組織時代の資料として、そして処分をしなかったのは聖が目にし、実際に行う可能性を失念していた為。
幸いにも聖は今日まで害を与えるまじないをしてはこなかった。
だが、聖はそのまじないを行ってしまう。
その名は『なかなおりのおまじない』
言うまでもなく、二神悪人との関係改善の為に。
場所を小学校に選んだのは学校でするまじないとされ、聖の思い出深い場所だから。
だが、そのまじないの本当の効果は『悪霊及び、悪しき存在を呼び寄せる』というものだった。




