感応
時刻は夜の十時を回っていた。
修理が終わった銃を手元でぶらぶらと遊ばせる。
水の補充も終わっているが、ご丁寧にセーフティがついてあるし、『悪』を通さなければ単なる水鉄砲に過ぎない。
イスに体重を委ねながら、先程の父の言葉を思い出す。
唯一無二の巨悪――人類全ての敵――御大層な名称だが、父の言う事は事実だ。
この身はそれを成す事でしか、止まる事が出来ない。
もしくは――誰かに敗れ、死ぬ事が――
「はは」
乾いた笑いが漏れた。
これ以上、この事は考えたくない。
どうせ目の前にはやらなければいけない事が転がっている。
例えば、今後の方針とか――
「戦っていくしかないよな、だが……」
以前の魔法少女との戦いを思い出す。
此方が疲弊していたとはいえ、力の差は歴然だった。
唯一無二の巨悪とやらになれと言うのなら、アレに勝てなければ話にならない。
ならば、せめて対等には戦える程には力を持たなければならない。
その為には――
「一応、これが使えれば話は変わってくるだろうがな」
父の遺したメモリーの中にあった設計図を元に追加武装をアンドロイド達が作り上げている。
設計図を見る限り、強力な武装となり魔法少女とも渡り合えるかも知れない。
だが、武装だけでは駄目だ。地の力……自分で言うなら『悪』の底上げだ。
それに、そもそもこの追加武装だって今の自分では扱いきれない。
貯蔵できる『悪』を全て使ってもすぐにエネルギー切れを起こす。
と、なると『悪』の力自体を底上げしなければならない。
「ヒロイン共の前に『悪』を狩るのか?」
あまり、気がすすまない。
だが、いつかはやらなければならない事だろう。
「とはいえ……」
嫌なものは嫌だ、と口にしようとした瞬間、脳裏に映像が映し出された。
「っ!」
幸い、使える武装は全て手元にある。
すぐに転送装置を起動した。




