完全犯罪
幸いと言うべきか、変身の際に履いていた靴とブーツが入れ替わる仕組みになっていたらしく、変身を解除すれば靴はどうにかなった。
爛れた足はとりあえず、トイレという事もあり水で流した後、紙を巻いて処置した。
何気に問題なのは戦いの中でボロボロになった学ランだ。
このまま帰るのは流石に怪しいだろう。
とはいえ、累計四回の転送を行った転送装置はもうエネルギーが残っていないらしく、ボロボロの学ランのままトイレを出るしかなかった。
幸い駅の周りには服を買えるところもある。
ロッカーから鞄を回収し、着替えられる服がある店を探す羽目になった。
何とか傷も隠せる服を購入し、着替えた後は母の指示通りに動いた。
携帯には恐らく警察か消防関係の着信の他に母の偽装工作のメールが届いていた。
それを確認すると来た道順と逆を辿り、家へと戻る。
戻った時には十数年暮らした自宅はなくなっていた。
母に仕込まれた演技をしながら、警官の一人に自分が燃えた家の息子だという事を伝えた。
その後、警察に調査という名目で取り調べを受けた。
当日は母の言いつけで若月光治郎氏のところにいたと述べ、裏付け(口裏合わせ)が取れた事で解放となった。
さらに数日後、母が郵送していたらしい遺書と母が精神病を患っていたという事実(偽装)が確認された事で母の自殺が断定された。
それにより、母の入っていた生命保険(自殺でも精神病によるものならおりるタイプ)を受け取り、また遺産の相続と若月光治郎氏のバックアップもあり、当面の生活費及び活動資金を得る事となった。
母の葬儀でも突然の母の死に悲しむ息子を演じきり、誰も疑う者は現れなかった。
こうして、あっさりと完全犯罪は成立した。




