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食えない相手

 対策をとっている相手をいくらつついてもボロは出さない。ならば対策をとっていない相手を狙えばいい。

 突然の言葉に二人どころか私の言葉を聞いている全員が呆気にとられる。それ即ち軽いパニックを起こしているということ。ならばこれを利用しない手はない。

「今この政府、今この社会、今この現実に不満はないか?」

『『『おおありだぁぁぁああああ!!!!』』』

 鎮火した炎を再び燃やすのは容易ではない。しかしどんな小さなものでも、火種があるのならば話は別。そして一度燃え上がれば維持することは容易い。

「待って下さい。これは三人での会議で、他の方々は──」

 今更その言葉が湿原であることに気付いても遅いぞジェンキンス・ブロッサム。

「聞いたか! これが現政府の言葉だ! この会議は、この国は自分たちのものだと、貴様ら国民には口を挟む権利すらないと言ったのだ!! そんな勝手が許されていいのか!!?」

 私の言葉に野次は増す一方。

 ここで下手に口を挟めば、日は余計に燃え広がり、黙っていれば私が煽る。

 さぁどうする? 私に仇なす二名よ。

 この場面は既にチェックだぞ?

「今一度言う! この国は”我々”のものだ! 貴様ら金の亡者の物では断じてない!!」




「大成功だったね。流石だ。街頭調査含めて支持率23%は固いよ」

「……そうだな」

「どうしたんだい? 浮かない顔して」

「サドラ・マシェリ。あの男を見てどう思った?」

「どうって、当たり障りのない質疑応答しかしてなかったと思うけど?」

「そう、そこが問題なのだ。やつは最初私に敵対してた。しかし私の反撃に対し、形勢逆転できないと見るやいなや、奴は当たり障りのない事を言うことにより、傍観者側へと舵を切ってみせた。そのことから推察するに、奴はかなり頭が回る。それもずる賢い方に」 奴は必ず何かを仕掛けてくる。それは分かる。だが何を仕掛けてくるのか。それがまるで読めない。

金を稼ぐことが目的ならば、態々政界へ進出する必要もない。かといってそれが愛国心からくるものなのかと問うと、それも否。

「まぁいい。今日はもう寝よう」

「え、いいのかい? いつも事前に策を打っているのに」

「目的が見えない以上、考えても浮かぶはずがない。今ここで考えつくような策を打ってくる筈もないしな。ならば明日即座に動けるよう備えておくべきだ」

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