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『三神病院』

作者: 謎猫

普段は、数ヶ月に一度くらいで

あまり電話やメッセージのやり取りをしない

友達が少し離れた所に住んでいるのですが

最近、体調を崩し検査入院するとの連絡が

本人から来ました。


「検査入院って・・・ 大丈夫なの?」

「大丈夫×2、検査だから2泊3日の入院だし」

「えぇ・・・ 心配だよ」

「安静にして数値を見る必要があるんだって」

「そうなんだ・・・」

「だから、心配しなくて良いよ」


話を聞くと、どうやら血液に含まれる何かの

バランスが安定しないらしく、貧血のような症状が

出たりするので検査入院する事になった様です。


「それじゃ、何か変わった事があったら連絡してね?」

「うん、分かった」

「お大事に」

「またね」


と、そんな電話をしたのが先月の事だったのですが

あれから、何の連絡も来ていないです・・・


「まぁ、何か変わった事があったらと言ったし・・・」


特に、何も問題無く検査入院も終了して

また普段通りの生活を送っているのだろうと想って居たら

タイミングというのは不思議なもので

何処かで私の事を観察していたのではないかと想うほど

ピンポイントでタイムリーな連絡が


「も、もしもし!?」

「あっ♪ 久しぶり~」

「今、丁度検査入院の結果とか気になっていた所だったよ」

「えっ?」

「えっ???(謎)」

「それって、どっちの入院の事?」

「どっち? 何が?(悩)」

「何って・・・?」


全く会話の流れが分かりません・・・

先月、友達は検査入院をすると連絡をしてきて

今、絶妙なタイミングで連絡が来たのですが

どっちの入院とは?

何のことなのでしょうか???


「どっち? って、もしかして他にも入院したの?」

「えっ??? してないよ?」

「うん???」

「えっ???」


どうやら、話を聞いていくと

友達が受けた検査入院に関しては特段な異常はなく

飲み薬だけの経過観察で済んだみたいですが

どっちの? と言うのは・・・

経緯は分かりませんが、何故か私が入院していると

聞いたらしく・・・


「私は入院とか全くしてないよ?」

「そうなの???」

「うん、別に風邪も引いていないし、最近は病院にすら行ってない」

「本当に?」


友達は、もちろん検査の結果を知らせたくて

連絡をしてきたのだけど、それよりも私が入院した事が

気になっていたみたいです・・・

でも、一体どこから私が入院したなんて噂が???


「ねぇ? 私が入院しているって、いつ聞いたの?」

「一昨日だよ?」

「一昨日? それって、誰から聞いたの???」

「誰って、病院からだよ?」

「病院???(悩)」

「みかみ病院って所から」


みかみ病院・・・?

私、そんな病院に行った事無いけど???


「どうして病院から電話が?」

「本人に頼まれて代わりに連絡をしましたって言われたよ?」

「私が病院の人に頼んだって事?」

「そうじゃないの???」


急な話の流れで混乱してしまいますが

私は数日前に、みかみ病院へ入院したらしく

理由は知りませんが病院の方へ頼み

友達へ入院していると連絡をお願いしたらしいのです・・・


「それで? どんな内容の連絡だったの?」

「今、入院して電話繋がらないけど大丈夫だからって」

「うわぁ・・・ 微妙にリアルな連絡だね・・・(汗)」

「本当に、入院してないの?」

「してないよ? いま、家に居るし♪ 電話繋がってるし♪」

「本当に? 何とも無いなら良いけど・・・」

「あはは~ 心配してくれるんだ~♪」

「当たり前でしょー!」


結局、友達の方は少し注意して生活していれば

なにも普段と変わらないらしいし

何故か私も病人扱いになって居たけど

誤解?も説けたし♪


「それじゃ、また連絡するね♪」

「うん、分かった~」

「お大事に♪」

「ありがと♪」


それにしても、私が入院って・・・

ホント謎です。


「私が入院って・・・ なんだろ?」


とか何とか、友達との電話を終え部屋でくつろいで居ると

普段、こちらからメッセージを送っても返信が

1ヶ月半遅れは当たり前の友達から珍しく

新規用件でメッセージが届きました。


「珍しい・・・ 明日は雨かなぁ?(笑)」


届いたのは、いつもながら短いメッセージで

微妙に日本語ヘタか!?って想うような文章なのですが

今回の内容は・・・


『入院してるって電話、本当?』


何これ? 一体どう言う事なのでしょうか???

私の自動脳内翻訳によりますと・・・

『入院しているって電話で聞いたけど、本当なの?』

って事だと想うのですが

ただ、このメッセージをくれた友達の周りには

私の事を知っている共通の友達は数人しか居なかったハズ・・・

それに、立て続けに私が入院しているなんて確認の連絡が

来るなんて。


「なになに? どうなっているの???」


ただ残念な事に・・・

この友達に、今メッセージを送っても返信が来るのは・・・(泣)

多分1ヶ月半後?

なのでっ! 今回は直接電話ですっ!!


「出るかな????」

「(ぷるるるるるっ)」

「あっ! もしもしっ!!」

「うわっ! もしもし?」

「うわって何っ!?」

「えっ???(汗)」


今電話した友達とは住んでいる所がかなり遠いので

メッセージのやり取りはありますけど実際には滅多に逢えないし

直接電話する事も1年に1回とか?2年に1回とか???

元々その程度なので、色々な意味で驚いたのかもです。


「メッセージみたよ~」

「あっ! あれっ? 病院から電話しても大丈夫なの???」

「あはは~ 病院じゃないよ」

「もう退院したの?」

「してないよ?」

「えぅ?」


どうやら、本当に私が入院して居たと想ってるようで

中々会話が進みません。


「えっと~ 私は入院なんてしてないよ?」

「そうなのっ!?」

「そうだよ」

「だって、入院しているって連絡が・・・」


連絡が?

むしろ、その大事な連絡っ!

どうして本人の私には来ないのっ!?

と想いましたけど、先程のように私がお願いしている事になって

居るのなら、私に連絡が来ないのは当然ですね・・・(泣)


「それで、一応聞きたいんだけどっ!!」

「う、うん?」

「私が入院しているって誰から聞いたの?」

「えっ?」

「私の事知っている人って、そっちにあまり居ないよね?」

「う、うん・・・」

「もしかして病院からとか?」

「そうだけど・・・ みかみ病院って所から」


なにこれ!?

普通に病院あるあるでいくと・・・

私、既に死んでいるフラグなのでは!?

とか不安になってしまいます。

そもそも、病院あるあるじゃないと想うけどっ!!


「ねぇ? その連絡が来た番号とか履歴残ってる?」

「えっと・・・ ちょっと待ってね」

「うん」

「なんか専用ダイヤルみたいだから、こちからは掛けられないかも」

「そうなんだ・・・」

「うん・・・」


その連絡について詳しく聞いてみると

やっぱり、私が病院の人にお願いして連絡をしてもらったみたいです。


「この事、誰かに話した?」

「まだ誰にも話してないよ?」

「良かった・・・ 私は入院なんてしてないから大丈夫」

「う、うん」


とりあえず、別の友達からも同じ内容の連絡が来た事は

今は伏せて置いて、原因は分かりませんが現状を説明して

誤解を解きました。


「入院とかしてないから何も心配しないでね♪」

「そ、それなら良いんだけど・・・(汗)」

「あっ! 私、生きているからね???(笑)」

「それ・・・ 今、笑えない~(笑)」

「あはは~♪」

「笑い事じゃないし」

「じゃぁ♪、また今度連絡するね~」

「うん、分かった~」


もう、ここまで来たらっ!!

みかみ病院とやらに確認を取らなくてはですっ!!


「でも、どうやって???」


と考えてはみますけど

やっぱり想い付く手段と言えば!

今は便利な世の中♪

ネットで病院を検索してみることに!


「文明の利器ですよね~♪」


思い立ったら、その場で世界中の物事が調べられるなんて

100年前には想像出来たでしょうか?

100年前の事、私あまり詳しくないけどっ!(笑)

それにしても検索数・・・


「うえぇ・・・ 約398,000,000件って(泣)」


普通に、みかみ病院を検索してみましたが

件数が膨大すぎて、この中から探すのは無理そうです(泣)


「むぅ~むぅ~(泣)」


とりあえず、ここから探し出すのは諦め

次に想い付いた手段はっ!

便利な便利な病院検索サイトから

みかみ病院を探してみる事に♪


「うぅ~(困)」


探してみる事にしたのですけども・・・

今度は、幾つかの医療機関サイトの検索機能を使ってみましたが

どのサイトも一括では全国の病院は探せないようなので

検索条件にエリア指定が必ず必要みたいです。


「じゃぁ・・・ 自分の住んでいるエリアから?」


と言っても、みかみ病院なんて近くには無いハズ?

そう想いながら検索してみると


「やっぱり無い・・・(汗)」


それならと想い、隣県をエリア指定して検索してみると

件数は出てきたのですが・・・


「それでも多すぎる・・・(泣)」


それに検索で出てくる病院名は、「三上」や「みかみ」あと「三神」

正確な名前だけでも分かれば結構絞れそうな気がするのですが・・・


「むぅ~(困)」


と、検索をしていると誰からか電話が掛かってきました。


「今度は誰だろ?」


名前が出ないので、登録している人では無いようですが

そもそも、知らない番号から電話が来るってあまりない気がする。

けど、とりあえず電話に出てみる事に・・・


「はい、もしもし」

「もしもし?」


電話の相手は女性のようですけど

もしかして、普通に間違い電話?


「もしもし?」

「あの、みかみ病院の藍川と申しますが」

「(びくっ!)」

「もしもし?」


電話を掛けてきた女性は間違いなく

みかみ病院と言いました・・・


でも、どうして私の番号を知っているの?

それに、友達への連絡はどの様にして番号を知ったの?

みかみ病院と聞いた瞬間

色々な事が一度に疑問へと変わりました。


「・・・・・・(汗)」

「もしもし?」

「は、はいっ! 聞こえてます・・・(汗)」

「今、お電話は大丈夫でしたでしょうか?」

「だ、大丈夫です・・・」

「伝言をお預かりしておりましたのでご連絡致しました」


伝言?

一体誰から?

そもそも、みかみ病院ってどこの病院???

もしかして、何かのイタズラ?

出来ればサプライズ希望ですが。


「あ、あのっ! 用件の前にすみませんけど・・・」

「はい?」

「みかみ病院ってどちらの病院ですか?」

「それについては、伏せるようにとお願いされております」


お願いされております?

一体誰にお願いされたのでしょうか?


「それって、伝言をお願いした人からですか?」

「はい、そうです」

「じゃぁ、伝言をお願いした人って誰なのですか?」

「それも伏せるようにと言われております」


何ですか? この電話・・・

と言うか、この伝言をお願いした人物っ!!

病院の場所もダメ。伝言をお願いした本人の事もダメ。

何も教えて貰えません・・・


こうなったら、教えて貰える事だけでも何か

聞き出さないと気が済みませんっ!

ただ、当たり前の事を聞いても答えては貰えなそうですから

探し出す手掛かりになる様な事を・・・


「それじゃ、みかみ病院ってどう書くのですか?」

「漢数字の三と、神様の神を旧漢字で書きます」


こんな事までは伏せるようにとお願いされていなかったみたいです♪

みかみ病院は漢字で「三神病院」と書くみたいですので

場所は教えてくれませんが、少しは検索で絞れそうな気がします。

って、用件があったのは向こうでした・・・


「ありがとうございます(汗)」

「いいえ、こちらこそ」


出来る事なら、もっと沢山の事を聞きたいのですけど

それよりも、今は伝言の内容の方が大事な気がしたので

最初に、そちらを聞いてみる事に。


「それで伝言というのは?」

「お預かりしている伝言ですが」

「はい」

「2026年8月29日の22時56分に亡くなります」

「・・・・・・・・・はいっ!?」

「場所は病院となります」

「えっ? ちょっと待って下さい(汗)」


急に・・・ 急にそんな事を伝えられても

どうしたら良いのでしょうか?

7年後に自分が死ぬとの伝言を電話で聞かされても・・・

それも、時間まで正確に?


「あ、あの・・・(汗) 冗談ですよね?」

「死因は病気によるものですが」

「これ、イタズラですよね?(汗)」

「その病気は治す事の出来ないものです」


突然知らされた人生終了の伝言。

何やら、私は7年後に病気で死ぬらしいのですが

今から病気で死ぬと分かっていても

その病気は治せないものらしいです・・・


「す、すみません・・・(汗)」

「なんでしょうか?」

「ひとつだけ質問良いですか?」

「答えられる内容であれば」


ひとつだけの質問・・・

不思議と、人生終了宣言されても

それ程頭の中は混乱していなくて・・・


多分、時間差で色々怖くなってしまうのだろうけど

今は大丈夫です・・・


「私からの伝言をその人へ届ける事は出来ますか?」

「・・・はい」

「それなら伝言、お願いしても良いですか?」

「分かりました」


こんなの・・・

本当は誰かのイタズラだと想ってる。

もしかしたら、テレビ番組の企画で

私が騙されているだけなのかも知れない。

だって、普通こんな事ないもの!

でも、この伝言が本当だとしたら?


「私からの伝言ですが・・・」

「はい」

「教えて頂きありがとうございました。とお願いします」

「それが伝言ですか?」

「はい、そう伝えて貰えますか?」

「わかりました」


私と伝言をお願いした人物との関係は分かりません。

その人物と三神病院との繋がりも分かりません・・・

でも、特別な関係ではあるのだと直感的に想う。


「えっと・・・ 忙しい所、伝言ありがとうございました」

「いえ、お気遣いなく」

「それでは、私からの伝言よろしくお願い致します」

「承知致しました」

「では、失礼します」

「・・・あのっ!」

「はい?」

「これはお願いされた伝言とは関係ありませんがっ!」


電話を切る間際、何かを決断したかのように

頼まれた伝言とは別の事を私に教えてくれました。


「私が病院に行けば良いのですか?」

「はい、内科です。出来れば大きな病院が良いです」

「そんなに大変な病気なのですか?」

「私がお伝え出来るのはここまでです・・・」


これって・・・

本当に、私は7年後に死んでしまうのかも。

そして、それは決まっている事だから

これ以上は何を伝えても無駄と言う事なのだと想う・・・


でも、この伝言を信じるなら

あと7年は生きられるらしい。


「色々と教えて頂きありがとうございました」

「いいえ、私は何も・・・」

「何となく分かりましたから大丈夫です」

「・・・・・・」

「あ、あまり気にしないで下さいっ!!(汗)」

「すみません、何も出来なくて・・・」

「いいえ、ちゃんと伝言は受け取りました」

「・・・・・・」

「私の伝言もお願いしますね」

「はい」

「ではっ♪」

「お大事に・・・」


やっぱり、本当に病院の方なのでしょうね♪

最後はお大事にと言われました(笑)

それなのに、電話を切る頃には人生終了宣言を

聞かされた私ではなく、伝言をお願いされた担当の人が

落ち込んでしまいましたけど(汗)


「7年後なんて・・・ 今は実感無いかも?」


電話を終え、早速『三神病院』を検索してみましたが

約398,000,000件もあったみかみ病院情報の中には1件も無く

そもそも、三神病院というのが無いようです・・・


「案の定って感じ???」


有りそうで、無いのですね~

三神病院って・・・


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後日、残りの7年で1回くらいは

精密検査を受けてみようかな?

と想い1泊2日の人間ドックを体験してみました。


丁度、私が入院しているとの偽情報を

何処かの知らない誰かさんがバラまいてくれたので

それを利用して検査入院です♪


「多分、今は何も見つからないだろうけど♪」


結局・・・

私が最後を迎える病院はどこにあるのか?

伝言をお願いした主は誰なのか?

何を基準に、数人の友達へ連絡を取ったのか?

それらが分かるのは、まだまだ先のようですけども。


『どこにあるの? 三神病院』

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― 新着の感想 ―
[一言] これって未来からの電話でしたかね? 未来の自分からの伝言?? でも、それかかってきたら怖い気がするなあ。
[良い点] 相変わらず、ゆるゆる奇想天外なストーリーにグッときますねぇ。 [気になる点] 最後の数行の答えが気になります。 [一言] これからも楽しみにしています。
2019/09/24 02:51 退会済み
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