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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

妖狐の宿

作者: いが扇風機

TS要素、妖狐化要素があります。

おや、こんな所に宿泊客が現れるとは珍しい。

え?こんな竹藪の中に宿屋があるなんて知らなかった?

そりゃぁ無理もない、地元の人間ですらここを知る者はまずいないからね。


知っているのはとある一人の男だけだったからね。

という訳でここに泊まりに来てくれたのは君で二人目という訳だ!おめでとう!


……あまり嬉しくないって?いやぁ申し訳ない。


ん?この耳と尻尾が気になるかい?本物だよ?ほら、ぴこぴこもふもふ動くよ?

触らせることはできないかな?敏感だからね。


それはさておき、お腹は減っていないかい?うんうん素直に頷いてくれてありがとう、食事を用意するからそこで待っててよ。

え?そのたくさんの毛が料理に入り込まないのかって?

それを防がないと宿屋は経営できないでしょう?任せてよ。


おまたせ、山の幸を使った料理だよ?美味しいかい?うん、美味しそうで何より。

もちろん毛の一本も入ってないから安心してね?

私もお腹が減ったし私の分も作ったから食べさせてもらおう、うん、うまい。


ところで、君はどこからやってきたんだい?

ふむふむ……就職も決まって暇な今の時期に旅がしたくてここに来たと、いいねぇ若いって。

今は何歳かって?失礼な、女性にそんな事は聞くべきではないよ。

強いて言うなら、30は生きてその後50は生きているかな?意味がわからないかって?まあそうだろう。


今からとある一人の男の話を聞けばわかるかもしれないよ。

聞いてみるだって?ありがとうありがとう。



その男はね、とある村に住む一人の男だったんだ。

日々の生活に不満も無い、いたって普通の男さ。

多数の友人達にも囲まれ、農業で生計を立てていたのさ。


とある日、男は竹藪に一人でタケノコを採取しに出かけたんだ。

たくさん採れたのはよかったが何と道に迷ってしまった訳さ。


辺りも暗くなってしまい遭難かと思われたが、何と男の目の前に不自然に佇む一つの宿屋があった訳さ!

で、男は一日をそこで過ごし明るくなれば帰ろうと決め宿屋に入ったのさ。


宿屋の主と思われしき人物はもちろんいた、営業中だと説明も受けた。

だがその人物は『人物』とは到底言いきれない立派な狐耳に九つのフサフサした尻尾を生やした女性。

まさしく妖怪狐と言うのかね?

顔立ちも男の好みでね、完璧なスタイルを兼ね備えた大人の女性がいたのだよ!


男はその女性に一目惚れしたのさ。

だが、今まで恋愛の『れ』の字もした事が無い男は困った。

しかも相手は人間ですらない妖怪狐、村人達に相談しようにも相談出来ない内容だった訳さ。


君は「女の妖怪狐に一目惚れした、相談に乗ってくれないか?」って言えるかい?

言える訳がない、そうだよねぇ。

男も君と同じ考えだったからねぇ、一人で何とかする事にした訳さ。


そして男は次の日から宿に通い詰め、ついに女性に告白!相思相愛になったのさ!めでたしめでたし!

……とまあこう聞くとハッピーエンドと思われるかもしれないが、この話には続きがあるのさ。


だが妖怪狐は他人に言えない呪いを振り撒く生き物でもあった訳さ。

男が告白した際、女性は自分自身の呪いを男にしゃべったのさ。

もちろん男はそれを迷わず呪いに立ち向かっていく!と答えたのさ、いやぁ~アツイねぇ。



ん?その呪いが何かって?今から説明するよ。


単刀直入に言うと、その妖怪狐と同じ姿になってしまう呪いという訳さ。

え?意味がわからない?

だから、妖怪狐と同じ場所で生活していると少しずつ体が妖怪狐と同じになるって訳だよ。

髪の毛が伸びてサラサラになって金髪に変化し、そして人間の耳がキツネ耳へと変化して

体も少しずつプニプニした肌に変化し、なで肩になったり内股になったり胸が大きくなったり股間の相棒が無くなったり。

顔立ちも段々と似てきて……。

最後はお尻から大きな尻尾がボン!と飛び出して終わり!っていう訳さ。



……だんだん怖くなってきただって?

大丈夫大丈夫!もうわかってると思うけど、その男は私という訳さ!

まあ今は男では無く、女の子の妖怪狐なんだけどね。


え?ここにいると自分も狐の女の子に変わってしまうのか?だって?


大丈夫大丈夫、一日だけだと変化しないから。

私の場合、相思相愛になった後、愛する妻の為にも何日も何日も……それこそ何年もここに住んだからねぇ。

少しずつ変わっていく自分の体は覚悟を決めたといえど怖かったよ。

でも私の妻に対する愛情は消えなかったからね、それこそが全てって感じかな?


おや、妻が帰って来たようだ。

二階に君用の部屋はもちろん用意しているから、自由に使ってもらって構わないよ。

それじゃ、おやすみ。




おはよう、目が覚めたかい?

どうしたんだい突然、え?体が変……?ちょっと見せてもらえないかい?

おぉ、これはこれは。ちょっと待って、妻に相談してくるよ。


待たせたね、そして私は君に謝らなくてはいけないようだ。

単刀直入に言うとどうやら昔と比べると呪いが強くなってしまったようでね。

その強さは昔の三十倍程らしいよ。


昔の私は一ヶ月で髪の毛が金髪になって狐耳が生えたんだ。

で、君も昔の私と同じように金髪になって狐耳が生えた!という訳なんだ。

結構柔らかいでしょ?癖になるよ?ぴこぴこ動かして楽しむと結構癖になるよ?


元に戻せ?無理だよ、呪いは一方通行だもの。

え?ふざけんな?どうしてくれるんだ!だって?

申し訳ない、私もこんな事になるなんて知らなかったんだ。


でも安心したまえ、君はこの宿屋の新しい店員として雇う事にした!

もちろん宿代、食費代は一生タダ!もれなく可愛い狐の女の子として数百年生きる権利を与えます!ドンドンパフパフ!!!




さてあれから早くも一ヶ月が経過したね。

君も立派な狐になったね、私達も仲間が増えてうれしいよ。

ほらほら恥ずかしがらない、その服は私と妻が考えに考えて用意した店員用の衣装なんだから。

え?スカート短い?絶対領域は見えそうで見えないのがそそると思わないかい?君も私も元男だからよくわかるだろ?

そうだけど自分が履きたくない?女は見られて強くなるって妻が言ってたよ!


お?どうやらお客様が来られたようだよ、ほらほら案内してあげて?

この日の為に練習してきたのだから、あのお客様ももしかしたら四人目の仲間になるかもしれないけど……。

さて私は料理でも仕込んでくるかなぁ、それじゃ!

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― 新着の感想 ―
[一言] これは3人に増えたからさらに呪いが協力になるパターンだ( ˘ω˘ ) きっと165倍前後くらいになるな
[良い点] 生きとったんかワレー! もう作者さんのシチュエーション大好きです応援してます
[一言] この宿に泊まりたいのですが、どうやって行けばいいですか?
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