悲しみの始まり
ある日、妹が死んだ。
車に轢かれたらしく幸いにも即死で痛みは感じなかったとのこと。
突然の妹の死に私は呆然とするだけで泣き叫ぶ両親が羨ましと思う。
……そして、それが全ての始まりだった。
妹が死んで数日後、久しぶりに高校に登校する。
周りには下手な心配はされたくなかったので“病欠”と言ってほしいと担任にお願いした。
登校したら友人たちに囲まれて始終苦笑いで質問の嵐から逃げたような気がする。
“気がする”と言うのはこの日の記憶がないからだ。
何をしたのかも分からないぐらい衝撃的なことがあったら平凡な日常の記憶なんて……忘れてしまうと思わないか?
両親の死体とかね……?
妹が死んだ日以降、両親は生気が抜けていたとは思っていたけどまさか死ぬとは思わなかった私は血塗れの両親を見て苦笑してしまった。
自分でも異常だとは思っていたがそうでもしないと本当に狂ってしまいそうだ。
とりあえず救急車を呼んで病院へ。
自殺かと思いきやどうやら殺されたらしい。
……そんな事を言われても私には関係ないことだから詳しくは聞かなかった。
兎に角、家族を一気に失った私は父方の祖父母に引き取られ今、20才まで生きてきた。