2,翡翠の王
新年一発目の投稿です、
ウィリアム王国、初代国王ウィリアムの名前からつけられたこの国はおよそ500年の長い歴史を誇る。
現国王は初代国王の弟、2代目の血筋を継ぐもので初代国王の血筋はとある大公家に継がれている。
その話はまたおいおいしよう。
さて、このウィリアム王国は自然豊かな国でもあり産業などにも特化した商業国でもある。
国の中央には大河が流れている。
現国王はウィル=ルミナール25歳。
今から10年ほど前に即位して以来右腕たる宰相と二人三脚で国の発展、安全に勤めてきた。
そんな王は王族特有の白銀の髪とこの国では珍しい翡翠の瞳を持つことから【翡翠の王】とも呼ばれており、国民に高い人気があった。
コンコン
扉を叩く音が聞こえる。
その男に部屋の主は顔を上げて低い声で「入れ」と告げると「失礼します」と声と共に一人の男が静かに入ってくる。
藍色の瞳と髪の線の細い眼鏡をかけた男だ。
10人が10人振り向くであろう美しい容姿の男はにこやかだがどこか恐ろしいオーラを背負っている。
一方、部屋の主は精悍な顔付きで前述の男とは違う10人が10人振り向き近寄りがたい空気を放ちながら机に一心に向かっている。
美しい男はそんな部屋の主にため息を付き静かに主のもとへ歩く。
机を挟んで主の前に立つ。
「いつまで部屋に籠っているつもりですか、馬鹿主」
「黙れ、馬鹿宰相
書類が終わらないから籠っているんだ」
そう言いながらも手と目は書類へと向いており宰相 イルへと向くことはない。
イルは美しい表情に微かな怒りを漂わせている。
「誰が馬鹿ですか
貴方が部屋に籠りすぎて貴方の婚約者たるマリー様「おい」……何でしょうか?」
「俺には婚約者なんていない」
殺気。
まさしくそれを出し惜しみせずにイルに向けている。
殺気を纏った翡翠の瞳にイルは隠しもせずにため息をつく。
「貴方みたいな短気な方がこの国の王なんて……
心底嘆きますよ」
「黙れ」
「ほら、短気」
「……」
図星なのかまた書類に向けて一心不乱に描き続ける。
そんな主に……この国の王 ウィル=ルミナールに呆れ返る。
国民には眉目秀麗、才色兼備と謳われるこの国の王だが右腕たる宰相からすればただの短気な我が儘王だ。
「いい加減結婚して妃とってくれませんかね?」
「相応しい女がいたらな」
「そんなの待っていたらゴールディ公爵家ご令嬢マリー様に決まりますよ」
「だったらそれでいいだろ」
自分の事なのに完全に投げやりで書類に一心不乱に向かっているウィル。
イルは心底ため息をついて黙りこむ。