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α 第二話 『セリス、疑われる。』

α 第二話 『セリス、疑われる。』


「じゃあ、クロト君は何もしてないんだね?」


にこやかな騎士団の使者が、少年に尋ねる。


「あ、あぁ。ありのままに見た事を話した!

対魔術なんてチャチな物じゃ無い!

もっと恐ろしいモノの片鱗を味わったぞ!」


明らかに今のクロトは取り乱していた。

その様子を見て、老院長が口を開く。


「あの子がやったとは思えないんだが。」




あの後、

状況を呑み込んだクロトが悲鳴を挙げて

気絶し、その悲鳴を聞いて年長組の皆と共に、

老院長が来た。

セリスからすれば、比較的年長である

クロト少年に押し付ける気全開で

言い逃れする積もりだったのだが、、、


「で?君がゴブリンを倒したとあの少年は、

言っているのだが?其処の処はどうなのかな?

セリスちゃん?」


積もりだったのだが、、、


「ワタシは、ヤって、ません。」


か細い声に騎士団の使者は肩を竦めた。


「じゃあ、何かい?ゴブリンの喉笛が突然、

ナニカに斬られたって言いたいのかい?」


だったのだが、、、

物の見事に疑われていた。

ゴブリンを倒した事自体は良い事である。

が、善悪の判断も付かない少女が、

殺傷系統の武術や魔術や魔法を乱用、

結果として社会に混乱を招けばソレは、

警邏である騎士団の管轄なのだ。

よって、この場合の容疑者たるセリスは

年相応以上の聡明な知力で、


「そうなんじゃ、ナいんですか?」


全精神力を以て、言い逃れに奔っていた。

尚、年長組以下の孤児院の暗黙の了解として

クロト少年が『妹に責任を被せた』として、

数日クロト少年を引き摺った孤児達が集合、

多数の打撃音と炸裂音の下、折檻して居たが

セリスは知る由も無い。


「はぁ、やりにくい。セリスちゃん。」


騎士団からの使者は、

既に半日に及ぶ長い永い

『オハナシ』に疲れ切っては居た。

が、それ以上に、


「ジジツです。ウソはついてイません。」


この少女の思考が読め無い事には、

気が付き始めて居た。

セリスからすれば、『ウソはついてイナい』のた。

全てを語っては居ないだけで。

ゴブリンの喉笛を斬り裂いたのは、

セリスが片手に持って居た女戦士人形で、

セリスでは無い。

誰かが来る前に人形に付いた土を布で拭い

掃除した故、持たせて居た『人形の剣』を

鞘に収めてしまえば、普通の人形だ。

騎士団の使者の青年は、常識的に考えて

虚偽に反応する魔術を使って居たが、

遂にセリスがウソをつく事は無かったのだ。


その日の晩、騎士団の使者の青年は、

首を傾げながら報告に戻って行ったのである。

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