No.1「プロローグ又は自己紹介又はエピローグ」
「心の行き場は何処だろう」
No.1「プロローグ又は自己紹介又はエピローグ」
「心は優しい人だから」
止めてくれ。僕は優しくなんてない。
なんでみんなこの仮初の性格に気付かないんだ。
何故これがキャラだと気付かないんだ。
頼むから優しいと言わないでくれ。
僕は卑怯だ。
幼馴染一人として救えなかった愚かな人間だよ。
やめて、そんな優しい言葉をかけないで。
お願いだから…もう僕に優しくしないで。
お願い…お願い…
ある日僕は出会ってしまった。
あの事件をきっかけに心を閉ざしていた僕に何故かやたらとかかわって来た人。
優先輩。
中学時代、入っていた部活の部長をやっていた。僕の一年上の先輩。
何故だろうか、次第に彼女の前では本当の自分でいられた。
彼女の前では、仮初の性格など出せなかった。
何故だろう。
気になり、気になり、気になり…
そして、とうとう僕は自分から彼女に話しかけるようになった。
「“こころ”君“こころ”君!」
「優先輩、何度言えば分かるんですか。僕の名前は心と書いて“しん”です。みんなが真似してこころと呼ぶようになっちゃったじゃないですかぁ。」
「じゃぁこころ君~、私にこんな風に呼ばれるのいやぁ~?」
「いやじゃないですけど…んー。いいですよ、好きに呼んでください」
「そうよ、そうよねぇ~」
彼女は常に明るくて、優しかった。
最初は優しくされることに抵抗があった。
騙されているのではないか。そう思ったからだ。
だけれど、そんな警戒もすぐに薄れて、今では全くない。
僕の歪んだ性格も大分修正されてきているみたいだ。
そして、中学卒業の時。
僕は優先輩の進む高校の事を聞いた。
そして僕は優先輩と同じ高校に行くべく勉強に励んだ。
その日から僕は目標をもった。
生まれて二度目だ、目標を持ったのは。
そして、僕は勉強に勉強を重ね…
ついに優先輩と同じ高校へと進学を果たしたのだ。
入学式には優先輩と再会し、優先輩が今何をやっているのかを聞いた。
「私ね、今生徒会やってるの!」
「ゆ、優先輩が生徒会ぃっ!?」
「こころ君、そんなに驚くことないでしょぉ~」
「イメージないんですもん。」
「それってぇー、私がだらしない。又は頼りないってことぉ~? あぁ~っ こころ君ひどいんだぁ~っ」
「そんなことないですけど…生徒会って、役職は?」
「えっへん! よくぞ聞いてくれたぁ」
…どうせ書記だろう。
「私は…生徒会長! 生徒会長朝霧 優よ!」
「せ、せ、せ、生徒会長!?!?!?」