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最弱ルーキーのナイト・スレイド  作者: フランジュ
ダブル・チェイサー編 第一章
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返済


とある医師の手記


No.88


"彼"の願いは、ある人物を見つけ出すこと。

しかし残念ながら"彼"がその人物と出会うことは不可能だ。


だが、もし"彼"が万が一にも、その人物と出会う時が来るとするなら……


【それは"彼"が、その人物の()()を知った時だろう】



Gromland Orba

______________________




スレイドとミライは始まりの町とも言うべきガウナ・リナに来ていた。


全てはスレイドが冒険者ギルドのスキル・スフィアを破壊してしまったことが原因だ。

だが幸運なことに、そのおかげで逆にスレイドは大金持ちになれた。


「まさかこんなに早く借金を返せるなんて……」


「しかも今や大富豪だからね」


「ああ。早く返してミディアランに向かおう。セラとジーナが待ってるからな」


「そうねー」


冒険者ギルドを目の前にした2人。

この会話でスレイドは自分の置かれた状況に現実味を感じていた。


深呼吸する。


受付嬢マリンの反応が気になった。

睨みつけられるのではないか?

嫌味を言われるのではないか?

罵られるのではないか?

様々な思考の中、緊張感はあったが意を決して冒険者ギルドへと足を踏み入れる。



すると、すぐに奥から声がした。


「お待ちしておりました、スレイド様!」


それは正面のカウンターからだ。

見るとニコニコと満面の笑みを浮かべる受付嬢のマリンがいた。


スレイドは戸惑いつつ、カウンターへと進む。


すると周りにいる冒険者たちも一斉にスレイドへと視線を送る。

……が、なぜか前回、来た時よりも冒険者の数が異様に少ないように感じられた。



「ようこそ!スレイド様!」


「あ、ああ……」


「本日はどういったご用件でしょうか?」


マリンの言葉に後方にいたミライが"わかってるくせに"と小声で呟いた。


「スキル・スフィアの代金を小切手で……」


うけたまわりました!」


セラフィーナから受け取った大金は王都銀行にある。

彼女の名義をスレイドに変更し、全ての資産をこちらで運用できるようにした。

これにより王都銀行は小切手を受け取った相手へとお金を送るのだ。


「これで借金は無くなったのか」


「ええ!綺麗さっぱり無くなりました!」


スレイドは安堵した。

最初はどうなるかと思ったが、これほど早く大借金を返済できたことは奇跡だろう。


「ただ申し上げにくいのですが……」


「まだ何かあるのか?」


「おわかりしかもしれませんが、冒険者ランクの件です」


「冒険者ランク?」


スレイドとミライは顔を見合わせる。

ここまでギルドの仕事は何度か受けたつもりでいた。

完遂できた依頼もあったはず。


「スレイド様が依頼を達成できたのは"一件だけ"なので冒険者ランクに変動がありません。つまりルーキーのままです」


「は?」


「あ、そっか」


ミライは気づいてしまった。

今まで受けた仕事は『悩み相談』と『知と武の選定』だけ。

二度目のセラフィーナの依頼は冒険者ギルドとは無関係だ。

そうなるとスレイドが完遂できた依頼は最初に受けた『お悩み相談』の仕事のみ。

『知と武の選定』の依頼はスレイドが魔法鉱石を持ってくるのを忘れたため未達成となる。


達成数が"一件"だけというのは間違いではない。


「まぁ、でもスレイドの目的は冒険者のランク上げることじゃないからいいじゃん」


「確かにそうだけどさ……」


「なによ」


「いや、別に」


スレイドが気にしていたのは新しく仲間になるジーナとのランク差。

彼女のランクはカッパー(銅)。

なるべくランクを上げて合わせたかったという、くだらない男のプライドだった。



受付嬢マリンはコホンとわざとらしく咳払いしつつ口を開く。


「とにかく変化ございませんので悪しからず……それでスレイド様は、これからどちらへ向かわれるのです?」


「俺たちはゴールド・バラッシュに行こうと思ってるんだ」


「ああ、やっぱり」


「やっぱり?」


「今は冒険者のほとんどがゴールド・バラッシュに向かってるんじゃないですかね」


「なぜだ?」


「だって闘技大会が近いじゃないですか。それに今回の"優勝賞品"は凄いですからね」


スレイドとミライは闘技大会については初耳だった。

それより気になるのは"優勝賞品"だ。

反応したのはもちろんミライだった。


「ねぇ!その優勝賞品ってなんなの?」


「うーん……これを"優勝賞品"って言っていいかわからないですけど……」


そう前置きしてマリンは苦笑いしながら言った。


「今回の闘技大会の優勝賞品はゴールド・バラッシュを管理している"ドッゴラード家"の令嬢との婚姻です。つまり十二騎士ナイトの娘と結婚できる権利ですね」


2人は眉を顰めた。

確かに婚姻を優勝賞品と言ったら、あまりにも安易な気がする。


それ以上に自分の娘を優勝賞品とする、"ドッゴラード家"という家柄にスレイドは違和感を覚えた。

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