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最弱ルーキーのナイト・スレイド  作者: フランジュ
冒険者ギルド編・第二章
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不意な決着

ショートソードはスレイドの凄まじい攻撃に耐えきれず、真っ二つに折れた。

両手持ちされた剣は振り下げられ、スレイドは大きな隙を晒すことになる。


すぐにカルガラ・クロウはクロスガードを解く。

血の染みた片目でスレイドを捉えると後ろ腰へと手を伸ばした。

後ろ腰に差した短剣のグリップを逆手で握り、すぐさま引き抜くと横に振った。


普段は決して使うことのない武器。

この時ばかりは使う以外ない。


これで勝ちは確定する。


狙いはスレイドの眼球だ。


カルガラ・クロウは勝利を確信した。



その瞬間、空中より一直線に高速で降下する者がいた。


「ヴィクトリアの仇だ!!くたばれぇぇぇぇぇ!!」


飛来者はカルガラ・クロウに乗るようにしてナイフを肩へ突き刺す。

その姿は中年でスキンヘッド、黒いマントを羽織った盗賊風の男、"ヒューイ・テイラー"であった。


「がはぁ……貴様、逃げたのではなかったのか!?」


「このオレが逃げるわけねぇだろがぁ!」


振られた短剣が途中で止まる。

スレイドは体勢を立て直すと後方へと下がった。


まだヒューイの攻撃は終わらない。


風空斬エア・スラッシュ!!」


ゼロ距離の魔法発動。

自身にもダメージが入ることを覚悟しての攻撃だった。

肩に突き刺したナイフを起点として爆風が巻き起こる。

爆風による斬撃によってカルガラ・クロウの片腕は大きく出血し、切断され地面に落ちた。

同時にヒューイの全身も切り刻まれてしまう。


「ワタシの腕を……このゴミグズがぁぁぁぁ!」


大きな叫びと共に、カルガラ・クロウの全身から凄まじい雷撃が周囲に放たれて地面をえぐる。

衝撃によってヒューイはスレイドのいる方向へと吹き飛ばされた。


「このまま全員、焼き切ってくれる……」


火花を散らしながら雷撃がさらに広がる中、吹き飛ばされたヒューイをくぐってスレイドが前へと踏み込む。

折れたショートソードを下段に構えて振り上げる寸前だ。


「うおおおおおおお!!」


なぜか、この男には魔法が効かない。

この連続した強力な雷撃ですら体に到達する前に打ち消されていた。


すぐさま自らのおかれた状況を理解したカルガラ・クロウはその場からバックステップする。


一旦、距離を取って仕切り直して再度、反撃の機会を伺うしかない。

スレイドの武器は半分に折れているためリーチが格段に短く、一度の飛び引きで間合いの外に簡単に出られる。


後方は石門であり、数メートルは距離がある。

端に追い詰められる心配はまだない。


……ドン。


思考を反撃の糸口へと巡らせている途中のことだ。

カルガラ・クロウはなぜか"もうすでに壁際に追い詰められていた"のだ。


「バカな!?」


スローモーションの世界。

カルガラ・クロウは見えてしまった。

上斜めへ向かって振り上げ斬りを放とうとしているスレイドの"数メートル後方"だ。


青髪の少女が足を震わせながらも立ち、大杖を前に突き出していた。

彼女を見たカルガラ・クロウは理解する。


「そうか……()()か……」


瞬間、スレイドの折れたショートソードによる斬撃が首筋を切り裂いた。

同時にカルガラ・クロウの背後にあった土壁も崩れて無くなると、そのまま力なく仰向けに倒れた。

出血は静かに地面に滴る。


「まさか……十二騎士ナイトの……このワタシが……こんな、こんな雑魚どもに……」


そう呟きながら、十二騎士カルガラ・クロウは絶命した。

呆然として立つスレイドの瞳の色は黒に戻り、目の前にある遺体を見つめている。

後ろからセラフィーナ、ヒューイが近づいたことにすら気づかなかった。


「俺が……殺したのか……」


「お前がやらなきゃ、オレがやってたよ」


「あなたがやらなければ、私たちが死んでいた」


ヒューイはスレイドの肩を優しく叩く。

2人の言葉によって、かろうじて精神を保つことができている。

スレイドは初めて人を殺めた。

誰かを守るためだとはいえ、''殺めた"という事実は変わらない。


様々な考えが巡る中、洞窟内が轟音を響かせ始めた。

大規模におこなわれた戦闘のせいで地盤が限界を迎えていたのだ。


「早くここから出なくては」


「そこの石門の横に道がある。洞窟の裏側の出口に繋がってるようだ」


「そこから出よう」


セラフィーナとヒューイは急いで石門の横にある道へと向かう。

カルガラ・クロウの遺体をずっと見つめていたスレイドもようやく意を決したように動き出した。


2人を追うようにして歩くスレイドは不意に石門のあたりに視線をやった。


「……ん?」


"何か"が地面で光った気がしたのだ。

すぐに石門のところへ走って、その"何か"を拾うとまじまじとそれを見た。


それは"古びた眼鏡"だった。


スレイドは首を傾げならも古びた眼鏡をズボンのポケットに入れるとセラフィーナとヒューイのあとに続き、洞窟の裏側の出口へと続く道を進んだ。

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