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最弱ルーキーのナイト・スレイド  作者: フランジュ
冒険者ギルド編・第二章
21/32

招かざる客

風情ある木造りの大きな屋敷。

入り口の階段を下りてすぐのところにある円卓に着く"4人"の冒険者らしき人物。

男性が2人、女性が2人と綺麗に分かれていた。


時計でいう分針が2時を指す位置には、細身でスキンヘッドの盗賊風の年配男が座る。


12時を指す位置には、大きな体の騎士風の男、金色の短髪で美男子という表現が似合う。


10時を指す位置に座るのは、褐色肌で長いグリーンの髪の綺麗な女性で服装は民族衣装のようだ。


8時を指す位置には、大きくとんがった三角帽子を被ったブルーツインテールの魔法使い風の少女が座っていた。



スレイドとミライは執事服の男に案内され、階段を下りると入り口扉に背を向けるようにして隣同士で座った。


それぞれ、スレイドは6時の位置、ミライは4時の位置に座る。


執事服の男はちょうど9時の位置に移動すると、頭を下げた。


「皆様、ようこそセラフィーナ様の屋敷へ。私は"シャル・マルマス"と申します。この屋敷では執事を務めさせていただいております」


笑みを浮かべて自己紹介をする"執事・シャル"だが、皆は彼を見たまま何も言わずにる。

それは口を開いていいという許可がまだないからだ。


「本日、ようやく席が全て埋まったこと嬉しく思います。さて、今から私の方から皆様にカードを一枚ずつお配りします。カードは机の上、皆様の前に裏で置きます。私が許可するまで絶対に表にしないでください」


シャルは上着の懐から細長い紙のカードを取り出して、時計回りで円卓に置いていく。

見ると、そのカードの裏側には死神のような絵が描かれていた。


「この六枚のカードのうち、一枚だけ表に印があります。その印があるカードが目の前にある人物は……"招かざる客"です」


皆が眉を顰めた。

"招かざる客"という意味のわからない言葉に困惑した様子だ。

しかし全員が他の冒険者へと視線を向けているのがわかる。

間違いなく"招かざる客"というのは特別な存在だろう。


「それでは今回の依頼について御説明致します。今回の仕事の内容は"武力"と"知略"の選定です。まず、みなさんにはバトルプレイヤーとカードプレイヤーに分かれてもらいます。バトルプレイヤーは五人、カードプレイヤーは一人です。まずはカードプレイヤーから御説明いたします」


そう言ってシャルは上着の懐から机に置かれたものと同じカードを取り出した。

裏面に描かれているのはやはり死神だ。


「カードプレイヤーに選ばれた方はまず自分の前に置かれたカードを表にします。その時、何も描かれていなければ依頼は続行されます。もし印があるカード、つまり"招かざる客"を選んでしまった場合は、その時点で全員失格として屋敷から出ていってもらいます。現段階で質問等はありますか?」


シャルはそれぞれ6人へ視線をやる。

その中で1人だけ手を挙げた人物がいた。

2時の位置に座る、スキンヘッドの盗賊風の男だ。

それを見たシャルは一言だけ"どうぞ"と言った。

恐らくこれが発言の許可なのだろう。


「選ぶって、どうやって選ぶんだ?」


「全ての説明が終わった後、みなさんで自己紹介をして頂きます。そして全員で一人を決めて頂きます」


「カードプレイヤーの役割は?」


「それはバトルプレイヤーの説明と同時にさせて頂きます。続けてもよろしいですか?」


スキンヘッドの男は黙って頷いた。

するとシャルが続けた。


「バトルプレイヤーに選ばれた五人はパーティを組んで、ここから北にあるドーラム洞窟へと入って頂き、最深部で採掘される魔法鉱石を一つづつ持ち帰って頂きます。鉱石を持ったまま無事に屋敷に戻ってくれば、パーティの中にいる"招かざる客"を抜いた四人で依頼料を山分けします」


妙な緊張感が漂った。

恐らくスレイドとミライ以外の冒険者たちはこの洞窟について知っているのだろう。


「この洞窟には魔物が多くいますが、特に最深部にいる"スコーピュラー"という魔物はかなりの強さである……というのは皆さんの知るところでしょう。数十年前に一人の騎士が戦い、この洞窟に押し込めてしまったというのは町の人間なら誰でも知っていることです」


この屋敷にいるのは、全員かなりの熟練冒険者であるが、その彼らを緊張せしめるほどの魔物。

そんな強力な魔物を押し込んだとなればシャルが言う"騎士"というのは凄まじい強さということはわかる。


「そこでカードプレイヤーは他の五人が洞窟攻略中にこの屋敷に一人だけ残って頂き、五人の中にいる"招かざる客"を推理して頂きます。彼らが戻ってくる前に机に置かれたカードを一枚だけ表にし、カードに印があればカードプレイヤーが依頼料を総取りできます。もし何も描かれていなければ失格とします。ここまでがこの依頼の説明となります。何か質問はございますか?」


シャルが言うと、またしてもスキンヘッドの男が勢いよく手を挙げた。

今度は"どうぞ"との返答を待たずに口を開く。


「待ってくれよ。カードプレイヤーが総取り?だったらカードプレイヤーが一番いいじゃないか」


「確かに確率的には適当に表にしても当たる可能性はあります。しかし私はその一部始終を見ていますで、当たっていたとしてもカードプレイヤーが"知略"に値しないと思ったら即失格にします」


スキンヘッドはこめかみを掻いた。

そうなればカードプレイヤーに選ばれるのは不利である。

考えるに、1人のカードプレイヤーは誰にも相談せず、自己紹介とやらだけで"招かざる客"を見つけなければならないのであればバトルプレイヤーの方が依頼料をもらえる可能性は高い。


「他に何か質問はありますか?」


シャルの言葉に誰も返答する者はいない。


「それでは自己紹介とカードプレイヤーの選択をお願いします。お時間はいくらでも使って頂きて構いません。この時点から自由に会話していただいて結構です」


口を開く者がいなかった。

それぞれが初対面であるため様子を伺っているのがわかる。

この中に依頼者セラフィーナ側の人間が1人だけ混ざっているのだ。


まずはカードプレイヤーを選ばねばならない。

ここでもし"招かざる客"を選んでしまえば終わりだ。


選定はもうすでに始まってる。

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