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あーかい部! 45話 アリとキリギリス

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。



3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!


趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!


面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!


独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)



そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。


聞き慣れた2人の賑やかな声につられ、今日も3人目の部員が来訪する。




「ちゃおっす。」


「お、来たなきはだ。」


「遅かったじゃん。」


「いやぁごめんごめん。」


「何かあったの?」


「アリさん見てたら遅れちゃった。」


「アリさんって……。」


「ちょっとわかるかも。たま〜に目で追っちゃうよね。」


「うんうん。」


「そういうものか……?」


「ひいろはアリの行列とかあんまり見ないタイプ?」


「ワタシは日頃から下など向かないからな!」


「確かにあんまりひいろが下向いて歩いてるところは想像つかないかも。」


「損してるねぇ。」


「そこまで言われることか?」


「案外、足下にも面白いことは転がってるもんだよぉ〜。」


「今日のアリみたいに?」


「そうそう。」


「ドキュメンタリーとかならともかく、そこら辺のアリなんて面白いのか?」


「面白いよぉ〜。さっき見たのはおっきな虫をみんなで担いで運んでたねぇ。」


「アリって結構な力持ちだからな。」


「お、ひいろ詳しいじゃん。」


「いや、自分の体重の何倍もある荷物を顎の力だけで運べるのは力持ちじゃないか?」


「人間には無理だよねぇ。」


「そういうふうに興味持つと、アリとかも面白く見えるんじゃない?」


「なるほど……。」


「そういうことでしょ?きはだ。」


「はぁ……。違うねぇ。」


「違うのか。」


「せっかく一匹で生きられるスペックあるのに、子作りも自由も放棄して社会の歯車として死ぬまで汗水垂らして働いてる所が面白いんじゃない。」


「「うわぁ……。」」


「ん?」


「なんというか……きはだって、なかなかいい性格してるよな。」


「きはだちゃんはいい子だからねぇ。」


「いい子はアリをそんな目で見ないんだよ……。」


「働き者のアリを笑ってたら、いつか童話のキリギリスみたいな末路を辿るぞ?」


「運ばれてたのキリギリスだったなぁ。」


「冬迎えられなかったかぁ……。」


「働き者のアリを笑うキリギリスは働き者に食い物にされちゃうんだ……。」


「違う話になってるぞ。」


「けどこっちのが現代的だよね。」


「現代の方が弱肉強食なんだな……。」


「アリさんに弱肉強食を感じるなんて、独特な感性してるねぇ。」


「きはだが始めた話だよね?」


「わたしが感じるのは同情と愉悦だよぉ?」


「ここだけ切り取ると完全に悪の総帥だな。」


「確かに悪の総帥っぽいかも。」


「勇者とかに倒されちゃう?」


「それは魔王だな。」


「マイファーザー?」


「魔王来てるなぁ……。」


「こんなしょーもない会話してる間にもアリさんは働いてるんだよね……。」


「ねえきはだが始めた話だよね?」


「働いてるといえば、今日は白ちゃん来てないな。」


「白ちゃんがちゃんと働いてるなんて……!?」


「キリギリス側の人なのにね。」


「確かに白ちゃんはキリギリスだな。」


「私は人間よ?」




白ちゃん入室。




「アリとキリギリスの話ですよ。」


「あ〜、どっかの国の童話にあったわね。」


「怒らないの?」


「なんで?私、誰がどう見てもキリギリス側でしょ。」


「自分で言っちゃっていいのか……!?」


「いいのいいの。童話のキリギリスが凍死したのは要領が悪かったからであって、怠け者が祟ったわけじゃないわよ。」


「言うねぇ〜。」


「現代で幅を利かせているのはアリを従えたキリギリスだし、キリギリスが凍死するとしてもそれはアリが全員凍死した後よ。」


「どんどん童話が変わっていくなぁ。」


「どうせ私も教頭先生に食い物にされちゃうのよ……。」


「えっっ


「ひいろ、その『食べる』じゃない。」






あーかい部!(4)




きはだ:投稿完了〜


白ちゃん:お疲れ様


あさぎ:キリギリス多いなここ


ひいろ:っていうかキリギリスしかいなくないかここ


きはだ:それはない

あさぎ:それはない

白ちゃん:ひいろちゃんは絶対アリよ


ひいろ:そうか?


白ちゃん:ちょくちょく教頭先生のところでお手伝いしてるの知ってるのよ

あさぎ:ちょいちょい生徒会も手伝ってるよね


ひいろ:おばさんに恥じない人になりたいからな!


きはだ:毎日おばさん喜ばせて誇らしくないのぉ?


ひいろ:喜んでくれてるなら良いんだけどな……


白ちゃん:私がおばさんの立場なら毎日全身が悦んでおかしくなるわね


あさぎ:白ちゃん先生、誤字ってます……


ひいろ:いや、あながちそうでもないんだ


きはだ:おおっとぉ?


白ちゃん:ひいろちゃんのこと褒めておくからおばさんにだけは……!?


あさぎ:じゃあ私達には話せますよね?


白ちゃん:嫌よ。このトークルームに誰が紛れ込んでるかわからないからね


ひいろ:まあ、そうだな……


あさぎ:あさぎの隣人でありすみ姉の愛しの妹、モーラちゃんでもダメぇ?


白ちゃん:ほ〜ら出てきた


きはだ:こりゃ話せんわ


あさぎ:い〜じゃんケチ姉


白ちゃん:へんなあだ名つけないの!


白ちゃん:それに、モーラだけとも限らないし


あさぎ:モーラさん以外にもいるんですか?


白ちゃん:前に教頭先生がひいろちゃんに化けてたことがあったのよ……


ひいろ:2人のトークルームで話してたときだけどな


きはだ:このひいろちゃんも偽物かもしれないのかぁ


ひいろ:今は本物だぞ!?


白ちゃん:もう誰も信用できないわね……


あさぎ:今こうして話している白ちゃん先生も、もしかして……


きはだ:キャー!


白ちゃん:やめろやめろ

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