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79.天候操作と状態異常



魔術書を開いた私は、前回の続きから、読み始めた。


中級、上級の魔術は、使えはするものの、詠唱を知らないので、それも覚えながら、魔術書を読む。



そして、使えないし、知らない魔術も沢山あった。


その内の一つが、雷魔術だ。


基礎魔術には入らないらしく、雷の球でも下級ではなく中級なので、難しいのだろう。

上級には雷の壁、槍。特級には嵐があった。


うん、これは覚えねば。しかし部屋の中で雷魔術を試すのは怖いので、詠唱だけを覚えた。これは午後に訓練場で試そう。



それから、下級の光球を発展させた、中級の閃光。中級の傾眠と覚醒の魔術。上級の幻聴と幻視。それらを合わせた、特級の幻覚の魔術。そして上級の転移魔術と、特級の擬態魔術。


うーん、擬態って特級なのか。結構、遠い道のりだったんだな。

これらも詠唱だけを覚えたので、後でルクスに確認してもらいながら試そう。



調合魔術の中級は、魔力刻印、魔力保護、変装、変換、同質化、染色、保護、洗浄、乾燥などがあった。


半分くらいの魔術は見たことがあるので、結果を想像しやすかった。調合魔術はまた別の機会に纏めて、ルクスが教えてくれるだろう。



調合魔術の上級は錬成、というものだった。どうやら、色々な工程を纏めて一度にしてしまえるものらしい。


何それ。それができたら、個別に調合魔術を覚えなくとも良いのかな。



それから、回復魔術の延長、らしいのだが、植物成長という上級の魔術があった。その名の通り、植物を成長させる魔術で、種や苗の状態から、望むところまで成長させられるらしい。


うーん、それを使うと、森とかも作れてしまうのかな。最終的には枯れるところまで成長?させられるらしい。


そうか、枯れるのか。直ぐに枯れてしまう草花程度であれば、魔力消費は比較的少ないが、樹木などは多大な魔力を必要とし、未だ木を枯らすまでに至った者はいない、だそうだ。でも、森は作れそうだな。



更に別の種類の魔術として、天候操作があった。

中級には曇り、上級には雨、雷、雪、特級には雷雨や吹雪があった。


天候は多様なため、特徴的なものしか記していないが、多様に操作できる者こそ、特級まで修めし者である、だって。


基本的には雲を操れば良いのだということは分かった。雲から雨や雪や雷を降らせれば良いのだと。



ここまでが中級、上級、特級の魔術の大部分だ。


そしてここからは、等級外魔術で有名なもの、人に知られているものが書かれていた。



例えば、遠見の魔術。何か、頑張ったらできそう。


他には他人の魔力を減少させる消耗の魔術。うーん、何か、できそうなんだよなぁ。



ルクスの詠唱分離と詠唱詩は載っていなかった。


どうしてだろうと、本の最後の頁を見てみると、出版されたのは10年くらい前だった。


だから、載っていないのかな。最近の最新の情報は書かれていないということか。




そうして魔術書を一通り読み終えたところで、昼食の時間になった。私はルクスに魔術書を返して、皆で食堂に向かう。


昼食はウィテハが担当だ。魔術書やら授業やら召喚状やらで疲れた頭と心が休まる優しい味だった。




食後のお茶を終えた後は、ルクスお待ちかねの魔術の実践だ。まぁ、私もお待ちかねだったのだけれど。


「あの魔術書は読み終えたと仰っていましたね。それでは、覚えた魔術を使える程度になるまで、練習しましょう」

「うん」

「調合魔術は別の機会に纏めて練習するとして、まずは雷の魔術ですかね」

「雷!」

「ふふふっ、はい」


私が期待の声を上げると、ルクスは嬉しそうに笑って頷いた。



まずは雷の球からだ。最初は普通にきちんと詠唱をする。


うん、成功だ。雷はこんな感じなんだな。


術式も魔力操作も、確かに基礎魔術を習得していないと難しいというか、癖がある感じだ。

火にも水にも、風にも土にも、全てに似ているようで、どこか違う。


雷の球を略式詠唱、無詠唱と身に付けていき、球の形や威力を変化させて、感覚を掴む。


ここからは簡単だ。雷の壁、槍、刃、嵐、これらも同じように覚えていく。


雷の球以外の魔術を覚えたことで思い出したのだが、基礎魔術の球以外の詠唱も覚えて来たので、そちらも略式詠唱、無詠唱と身に付けていく。これで基本的な属性の魔術はほぼできると言えるだろう。



「次は天候操作を覚えましょう」

「うん」


こちらも詠唱は覚えている。まずは基本となる雲の魔術。


「我は世界に求める。この魔力を糧に生み出せ。コルリ」


うーん、意外と魔力を消費するんだな。


雲を出現させてからの操作は、風や水と似ている。


これは、このまま変化させれば、雨や雪、雷雨や嵐ができるのでは?


そう思って、雲をぎゅっと集めてみる。かなり小さくなってしまったが、どんよりとした雨雲だ。


うん、このままいけば……あ、雨が降って来た。雲の下だけ。うん、エテーレ。


私は雨雲を一度消失させてから、もう一度、略式詠唱で生成した。


「コルリ」


うん、思った通りに雪雲っぽいのができたな。僅かに雪も降っている。エテーレ。



私はその後に、何回も色々な雲を出現させた。


十分に感覚を掴んだところで、雨や雷雨などの詠唱も身に付ける。


これも基本的な雲の応用だ。ちょっと魔力消費が多いが、問題はない。


「ルクス。出来た」

「はい。お見事です。次は閃光を手早く済ませましょうか」

「うん」


手早くと言った通り、本当にささっと習得してしまえた。

光の球は大きさ、色、明るさが変えられるので、閃光も同じような術式操作で簡単だった。



「次は傾眠と覚醒の魔術ですね。傾眠は状態異常に分類されますので、覚醒は状態異常回復の魔術に含まれます」

「じゃあ、状態異常回復ができれば良い?」

「いえ、全状態異常の回復は消費魔力量が多いですから、覚醒や数個の状態異常のために使用するのは効率が悪いかと」

「ふーん」

「それでは傾眠はセレペ、覚醒はカウェプです」

「うん」


私は傾眠と覚醒の魔術を詠唱、略式詠唱、無詠唱とこなした。


これらも、回復魔術と同じで、被験者となってくれる人がいないので、ルクスに魔術残滓を見てもらい、できているかを教えてもらっただけだった。



「次は幻視、幻聴、幻覚です。これらも状態異常に含まれます」

「うん」


と、返事をしたはいいものの、何だか身体が重く感じる。


まるで風邪を引いた時のようだ。だが、身体は至って元気なはずで、ならばこれはどういうことだろう。


「ルクス、何だか、身体が重い?」

「あぁ、沢山魔術を使いましたからね。こちらをお飲みください」


ルクスに正直に不調を伝えると、ルクスは直ぐに理由に思い至ったようで、緑色の液体が入った小瓶を差し出してくれた。これは上級の魔力回復薬だろうか。


「ありがとう」


小瓶を受け取って、一息に飲む。上級は飲みやすい方だとはいえ、それでも少し苦みやえぐみがある。


まぁでも、訓練場の休憩室に行って、お口直しの水を貰うほどではない。


そうして魔力を回復させた私は元気になった。気疲れや身体の疲れはあるけれど、魔力的には元気だ。



そして幻視、幻聴、幻覚の魔術を習得し、ルクスからも合格を貰った。


しかし、これらもルクスにできていますよ、と言われないと分からなかったので、あまり達成感はない。


こういう状態異常や回復系の魔術は、実際に使用する機会が来ないと、使うことはないだろう。


練習のし甲斐もなければ、練習の機会もないのだ。まぁ、そんな機会はない方が良いんだろうけれど。



「次は植物成長です。これもここで実際に植物を育てることはできませんから、術式の感覚を掴む程度にしておきましょう」

「うん」


これもさくっと終わらせて、さて次はとルクスに視線を向ける。


「それでは、転移と擬態、ですね。オデット様、魔力量は問題ありませんか?」

「うーん、多分、ちょっと余るかも?」

「でしたら、問題ないでしょう」


あ、大丈夫なんだね。転移は上級、擬態は特級の魔術だと書いてあったのが、ルクスがそう言うのであれば、大丈夫なのだろう。


これまでの他の魔術での魔力消費量から、そう返事をしたのだが、ルクスの試算ではもう少し余裕があるのだろうか。



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