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12.昇進と転身(閑話)

今回は閑話です。


「デピラ!どうなった!?」


実家に戻ったかのような安心感に浸る暇もなく、私は帰還早々に、相棒とも呼べるほどに長い付き合いをしている相方に問い詰められた。


「落ち着け。部屋で話す」

「あ、あぁ」


ブラスに急かされながら、私は人が寄り付かない支部長室の隣の資料室にブラスを招いた。部下には入り口で見張りをしてもらっている。


「まず、あの方はルクス様が保護されることになった。勿論、秘密裏に、だ」

「え、じゃあ、俺たちは?」


色々と知ってしまっているのだが、問題ないのだろうか。と警戒するブラスに私は淡々と、先程取り決められた内容を話す。


「召喚魔術は失敗、術者は死亡。それが公開できる範囲だ。そして、私たちは協会本部に行くことになる」

「協会本部に?聞き取りか?」

「そうじゃない。昇進だ。いや、お前にとっては転職になるか」

「それは口封じ、ってことか?」


警戒心を強めるブラスに、私は首を横に振った。


「それもあるだろうが、それだけじゃないだろうな」

「ん?」

「恐らく、あの方の正体を知る私たちを近くで管理したい、という理由と、あの方にお仕えする人物にしたいという目的があるのだろう」

「お仕えする、のか?」

「まぁ、悪い話ではない。個人の専属に近い勤務内容だが、立場としては協会長付きだ。沈黙の誓約か転職か、お前はどうする?」


私が真剣な表情でブラスをじっと見つめると、彼は暫く考え込んでから、きっぱりと告げた。


「分かった。俺も行く」


その答えに少し安堵しつつ、私はほっと息を吐いた。


「あぁ。着任は三か月後だ。それまでに引き継ぎをしなければならない」

「引き継ぎなぁ~」


私が告げた言葉に、ブラスは悩まし気な声を上げる。私はこちらで適任がいなければ、協会本部に言って、後任を探してもらうことができるのだが、ブラスの方はそう言った融通はあまり効かないだろう。


何せ、体外的には自己都合による退職、そして魔術師協会への転職、になるのだから。ルクス様が後任の騎士を探すことは難しいだろう。そちらには伝手がないだろうから。


後任を探して決めて、引継ぎをして、ということを三か月で行わなければならないので、時間に余裕はない。


「取り敢えず、今朝の騒ぎの後処理からだな」

「あー、そうだな」


嫌なことを思い出させられた、という表情をするブラスを見て、私はこれから待ち受ける仕事の大変さを想像してしまい、渋面になってしまったのだった。


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