1話 移転
画力だけはプロ級の漫画家志望の優一。彼は人生経験が乏しく、持ち込みの際も絵は良いが、内容がつまらないと言われる始末。そんな風に漫画家に慣れずに10年が経った。流石に親に地に足つけろと言われ、コネでとある会社に入社し、社員寮に入る事になる。しかし、優一が入る事になった学生寮は有名な曰く付きの物件だったのだ。優一は初めは気にしながらもすぐに忘れ、漫画を書き始める。漫画を描いていると幽霊の宵雲が現れた。宵雲曰く、自分は漫画が好きで良くこの寮で漫画を盗み見ているという。宵雲は優一の漫画をみて優一の絵を気に入る。しかし内容はダメだと持ち込みの時と同じことを言われ、怒る優一、そこで宵雲に自分の人生を描いてみないかと提案をされる。これは優一が幽霊の宵雲の人生を漫画にする話である。
編集「こんなのが通せる訳が無いと、何度言ったら分かるんだ!!!子供でももっとマシなものをを思い付くぞ!!!」
優一「はぁ、俺なりに頑張ってはいるんだがな…」
俺は優一。漫画家志望のしがないフリーターだ。今年でもう28になる。
自分で言うのもなんだが、絵にはかなり自信がある。
しかし、内容が絶望的にダメなんだ…
俺は人生経験が乏しく、今までの人生を振り返っても話題にする事が何一つ浮かばない。
学生の頃は友達は居たがもう疎遠になってしまった。
何かしらの行事とかで経験するだろ。とか思うかもしれないが、イベントは基本蚊帳の外だし、何かに積極的に取り組んだ事は無い。
とまぁ、こんな風に人生経験が無いんだ。
だからこそ、俺に刺激的な体験をさせてくれる漫画が幼い頃から大好きでいつしか自分でも作ってみたいと思うようになった。こんなところで燻っているけどな。
そんな暮らしをしていたら親から流石に地に足つけろと親のコネでとある会社に入社する事になった。そしてそこの社員寮に入る事になった。なんて言ったって今住んでいるアパートの5倍は安い。コンロが2口、風呂付きだ。社員寮っていいものだな。と思っていたら曰く付きだったようだ。生暖かめの視線を感じる。そう言えば明らかに御札が貼ってあったな。剥がすなよって?ざんねん。もう事後だ。薄々安すぎるとは思ってはいた。前のアパートに戻ろうにも、もう引き払って来てしまった。ここしかないのだ。覚悟を決めて食事を済ませ、風呂に入り、さぁ寝ようと思ったが寝れる訳が無い。流石に怖い。気を紛らわす為に漫画を書いていると。視線を感じた。さっきよりもずっと近くから見られている気がする。恐る恐る振り返ると、いる。さも当然の様にいる。
??? 「お主、儂が見えるのか?」
優一「うわぁぁ!!」
??? 「そんな驚く事でも無かろう。それとも何かした方が良かったか?」
優一 「何かってなんです?」
??? 「▓▓▓▓▓▓▓▓」
優一 「ひぇ…」
??? 「まぁ、そんな事はどうでもいい。問題はお主の漫画じゃ。儂は漫画が大好きでの。よく漫画をこの寮で盗み見ていたのじゃが、皆居なくなってしもうての。一刻も早く漫画が読みたいのじゃ。お主が書いとるそれ、漫画じゃろ?見せてくれんか?」
優一 「(そんな事って…)まぁ、いいですけど…」
??? 「フムフム…ってなんじゃこれは!!絵は素晴らしいが、全くもって面白くないでは無いか!!どういう事じゃこれは!!」
優一 「人の書いた漫画を読んでおいてそれは無いでしょうよ!!」
??? 「いや、儂は嘘は吐きたくない主義での。だから言わせてもらう。これは全くもって面白くない!!!」
優一 「人が気にしてる事をそんな風に言わないでください!!!」
??? 「いや、面白くない。今まで見た中で一番面白く無い!!!」
優一 「じゃあどうしろって言うんですか!!!!」
??? 「そうじゃの…儂の人生をを描いてみるというのはどうじゃ?お主の絵はとてもいい絵じゃ。ここで腐らすのは勿体ないと思うのじゃ。良い案だと思うぞ。幽霊の今までなんて見たことないじゃろ?。」
優一 「嫌です。あなたのことなんて描きたくないです。」
??? 「▓▓▓▓▓▓▓▓」
優一 「ぜひ、書かせて頂きます!!ですが、私はあなたの事を何も知らないので…」
宵雲「そうじゃな、自己紹介がまだじゃったの。儂は宵雲。姓は無い。歳は聞くな。」
優一「では、私も。私は優一、姓は名乗りたくありません」
宵雲「互いに訳ありということか。まぁ、よい。これで儂の漫画を描いてくれるんじゃな?」
優一 「とりあえずは…」
宵雲 「よぉっし!!」
優一 「(不安だな…)」
初投稿 1話目です。
読んで頂けると幸いです。