意外な弱点
だが歩いていると、
急にサワイがへばり出した。
「ちょっと…姐御待って下さい!
歩くの早いっす!」
「え?地面潜り過ぎて疲れた?」
「いや!潜るのは特訓したから余裕すが、
歩き続けるのがキツいんすよ」
モンスターは皆人間より、
強くて体力有ると思っていたが…
そういや人間は他生物に比べ、
持久力には優れているとも聞いたな。
一方ワイバーンの足は、
本来獲物を捕えたり木に留まったりと、
一時的に使う事は有っても、
歩く事には想定してない。
サワイは地面を潜る練習はしていても、
歩く練習はしてなさそうだから尚更だ。
最初冒険者パーティに追われていたのは、
本当に危険な状況だったのだろう…
「ごめんワイバーンが歩くにはキツかったわね、
ちょっと休憩しましょ」
私はサワイと道の横の木陰に、
座る事にした。
「ねえ、貴方はサンドワームになる練習したなら、
姿を変えれるって事?
例えばもっと小さくなるとか…」
「出来るっすよ!
サンドワームなろうとして失敗した、
この形態っす!
他のワイバーン達には笑われましたが…」
サワイの大きな体は、
みるみる縮んで頭身まで下がり、
瞳や頭が大きく体が小さい、
ワイバーンの赤ちゃんの様な、
マスコット体型となった。
「可愛い!?」
サワイは普段のイケメンな姿が好きで、
厳つい見た目で私を姉と慕う弟分な、
ギャップ萌え的可愛いさが合ったが、
これは見た目通りの王道可愛いだ。
思えば私はモンスターは、
格好良い、異形で男の子寄りの好みかも知れない…
しかしそんな私も可愛いモンスターは可愛いのだ!
「じゃあ普段はその姿で、
私の肩に乗ってて♥️」
「ワイバーンに乗る人間は居るっすが、
人間に乗ったワイバーンは、
多分俺が初めてっす!
姐御良い匂い♥️」
ワイバーンマスコットと言っても、
飛べるなら妖精の様に、
私の回りを飛び回ってくれそうだが、
飛べない上に小さなサワイは、
私が守らねばならない。