詩は返して呪いは返さない
一応城内の豪華な空き寝室を通されたが、
怪物の騎士団と、
喧々諤々の返詩会議である。
黒板を借りて先ずチョークで、
右にオーベロン王の詩を書いて、
左に私の率直な気持ち、
「断固拒否、てめえの面気に食わねえ。
エルフ女とシケ込んでろ」を書いた。
「そう言えばサワイって、
字読めるの?」
「ワイバーンだから全然わかんないすが、
雰囲気はまあ…」
空気だけで、
会議参加するのも凄いな…
「私は無理すれば人類滅ぼせるのは、
正直良いかなと思いつつ、
それではエルフ達が不幸になるし、
やっぱり人型のオーベロン王は無理…
でもきっぱり断れば怒らせるから、
どう怒らせず断れば…」
「オーベロン陛下だけでなく、
オフィーリア陛下ら女達も、
怒らせない様が良いだ」
さっき私を睨んでいた、
エルフ女達か…
ドハワールドのエルフが、
何年生きるかは分からないが、
少なく見積もっても、
海千山千、酸いも甘いも噛み分ける。
見た目は若くとも老獪な、
超お局達と考えるべきだろう…
私がもし王妃になろうものなら、
大奥や源氏物語以上の、
恐ろしい女の敵は女ドロドロに…
床に汚物どころか、
地雷の様な攻撃魔法陣を書いたり、
後妻打ちも岩を飛ばす様な、
物理的な質量攻撃に…
平安貴族も個人で呪詛したりしたが、
エルフ女達は全員陰陽師以上の、
呪術を使うかも…
「ところでゴート、
ここに来て私に、
どの位呪詛かけられた?」
「49回だな、
全ておらの防御結界で防いだだが、
かなりきついだ…」
49…死苦な辺り、
エルフ女の私への嫉妬が、
相当根深いと感じる…
「呪詛返しするだか?」
「いやもっと面倒になるから辞めて、
防御に徹して…
てかゴートって、
何でそんなにエルフに詳しいの?」
「エルフはどの妖精より金属に弱く、
ドワーフやおらが、
加工した金属製品しか使えないから、
一番のお得意様だよ。
ドワーフのエルフ学者も居たし、
おらも前エルフ王宮に、
連れてきて貰った事あるだよ」
ドワーフのエルフ学者!?
さらっとパワーワード出たな…
遊園地みたいなノリで、
ここを語らなくても…
「じゃあ一番詳しいゴートが、
返詩を書いて」
私は黒板消しで、
自分の率直返詩を消した。
「わかっただ!
今はごめんなさい、次の機会に…」
ゴートは浮遊魔法を使い、
チョークで書いたのだが、
期待通りの結果ではなかった。
「それだとまだチャンス有ると、
期待するじゃない…
女達にもっと呪われそう…」