樹の精霊
「因みに怪物の魔女使い魔の貴方達は、
怪物の騎士ね」
「騎士!?俺がすか!?
へっへっへ…」
「おら材質だけなら、
甲冑ぽいだが…」
「待てい!何ゆえわしが、
武士でなく騎士なのだ!?」
「そりゃモナカ王国では、
武士より騎士のが分かりやすいからです。
逆に扶桑で『騎士です』と言って、
みんな分かると思いますか?」
「なるほど…女神教僧が扶桑でだけ、
派手に着飾って布教する様な、
地域化か…」
「ドハワールド全部怪物帝国にしたら、
武士に戻します!」
アダムワールドのキリスト教宣教師、
ザビエルの親友トーレスも、
日本に適応主義で絹の服着たりし、
布教成功したらしいが、
ドハワールド扶桑でもなんだ!
ローカライズはどの世界でも必要!
郷に入らば郷に従うが、
それも全て我が郷にするため!
そんな訳でワイバーン使い改め、
怪物の魔女と怪物の騎士によるパーティ、
怪物帝国はエルフの里に進軍した。
「姐御…狼マジ気に入ったんすね」
私は完全なニホンオオカミになり、
人斬り丸はゴートのアイテムボックスに預け、
四本足で尻尾を振って歩く。
「だって私もう獣なのよ!?
四足歩行は安定感抜群なんだよ!?
いや~わざわざ人になる、
獣の気が知れないな~」
「ぐっ!?それはもう何度も、
謝ったじゃないすか…」
私は先ほど怪物の魔女に、
不遜を働いた怪物の騎士たちに、
当て付けてみた。
希望は希望のまま、
清く居て欲しいのだ…
「でもその姿だと、
エルフたち姐御が姐御だと、
気付かないんじゃないすか?」
「いーのいーの!
気乗りしないヤバそうな人型モンスターは、
会わないに越した事無いから」
「あっ!ついただ!」
まるで屋久杉の様な、
大木の原生林…
エルフの門番だけあり、
同じく長命種の様だ。
すると屋久杉達は一緒に、
目を見開き立ち上がった。
どうやら樹の精霊エントの様だ。
「木霊か…」
「お主らは何者ぞ!?
我が地を乱すなかれ!」
ファンタジー洋画で、
古代レベルの人間には強かったが、
火器や攻撃魔法有ったら、
どうだろうか…
いや戦いたくなど無いが…
付近の小さい樹は、
女の様なドライアドになっている…
エントが雄でドライアドが雌か!?
いや植物だから、
エントがおしべで、ドライアドがめしべか!
「樹の精霊見れて満足したから、
帰りましょ」
「ダメなんだな!
おらがオーベロン王に、
呪われちゃうんだな!」
怒られるでなく呪い!?
なおさらヤバい奴だが、
ゴートの顔立てる為にも行くか。
「私はオーベロン王に謁見する、
怪物の魔女」
「怪物の魔女は人間の筈!
人狼ではない!
エルフの里に侵入して荒らす気だな!?」
しまった!
人狼は昨日なったばかりだから、
連絡ミスだ!
「羽根の魔女推薦状が有るだ!」
「なにい!?」
エントは枝を伸ばして、
ゴートが出した手紙を巻き取り、
リーダーエントが読むのを、
他エントも覗き込んだ。
「むむむ…確かに!
ん?オーベロン陛下?
なになに?」
するとイヤホンが有るかの様に、
リーダーエントは耳元辺りを枝で抑えた。
「怪物の魔女と認める、
入れ」
こうして木々のゲートをくぐり、
エルフの里に入る事が出来た。