別次元の脅威
クップくんの件は落ち込み、
鍛練に身が入らなかった。
木刀打ち込みも弱く、
西洋甲冑凹みも昨日より浅かった。
察したのか先生は、
そこには触れて叱責追加しない、
優しさも有った。
もうクップくんは居ないが、
まだあの屈服教呪文が、
聞こえる様な空耳もした。
翌日冒険者は見当たらなかったが、
代わりに良い感じの、
洞窟を見付けた。
上が天井の様に平たい大岩だが、
横には広く床も平らで、
人工物の様にも見える。
「ここ涼しいから、
今日の暖取りにどう?」
「良いっすね~
洞窟なのに羽根や尻尾、
思い切り広げられるし」
まだ午前で寝るには早過ぎるが、
焚き火の準備をして、
気を紛らわせたかった。
「今日は何食べようかしら?」
「おら!アイテムボックス探るだ!」
「涼しきなら、
川魚の塩焼きも良いやもな、
生姜も盛り合わせて」
ドハワールドに来てから、
毎日ほぼキャンプだが、
今はよりキャンプ感が有る…
だが薪を積み終わると、
突然空気が一変した…
全身の鳥肌が立ち、
川床の清涼が、
砂漠の熱気に変わった様な…
ナイトプールの水が、
全部溶かした鉛に変わった様な…
土砂崩れに巻き込まれ、
岩や土に締め付けられる様な、
息が詰まる圧迫感…
今までの冒険者が放った、
殺気とは別次元の濃縮還元!
何か分からないが恐い!
本能的に体が危険を察知し、
心臓の鼓動が高まる!
「君が噂のワイバーン使い、
大倉栄子か…
実物は思ったより可愛いな」
振り向くとそこには、
今までの冒険者パーティとは、
全く違う気迫の四人が立っていた。
エマの街の冒険者ギルドで、
ポスターで見た事有る…
勇者パーティだ!