奇妙なオーク
先生の不審な態度は謎だが、
取り敢えず焚き火を囲んで、
クップくんから話を聞く事にした。
「えーとクップくんは、
何でさっきの冒険者にやられてたの?
討伐ではなかったわよね…」
「あの人達とは仲間でした!
でも急に怒り出したから分かりません!」
聞いているこっちは、
もっと分からない…
クップくんはオークだからか、
腕の筋肉凄いがお腹かなり出て、
胸も大きい…
雄と思っていたが、
サワイみたいに雌なのか?
「クップくんて雌なの?
私オークは初めて見たから、
分からないんだけど…」
「僕雄です!
昔人間の女の子好きになったけど、
その娘を遊び人にNTRれて、
奪い返そうとして返り討ちにされたから、
魔法でふたなりになって、
僕も遊び人の恋人なろうとしたら、
逃げられました!」
「え!?返り討ちまでは同情したけど、
その後が全然分からない…」
「遊び人様は最強!無敵!神様!
チャラいは宇宙の真理です!
チャラい遊び人様を崇める、
屈服教て宗教作って、
皆に広めてます!」
失恋のショックでおかしくなり、
NTRした遊び人に屈服したのか?
てかこいつカルト教祖なのか…
人間でなくモンスターなら、
ホーブ王みたく認めようかな…
「栄子さんも一緒に、
遊び人様に祈りましょう!
屈服♪屈服~♪チャラチャラチャラ~♪」
意味が分からないカルト宗教を、
私に布教して来た…
変な呪文を唱えて、
焚き火を護摩壇みたく儀式を始めたが、
これもROM専するべき…
いや、せざるを得ない…
クップくん谷間のとこの焼き印、
漢字ぽい蓬莱文字で「屈服魂」と有る…
「ああこれ格好良いでしょ?
自分で焼き印作って押しました!
栄子さんの胸にも押してあげますよ♪」
どんだけ遊び人を信仰しているんだ!?
「なあこの豚って…」
「なんだかおかしいだ…」
サワイが青ざめて、
ゴートとヒソヒソ話を始めた。
先生の態度や冒険者の怒りも、
もしや布教ゴリ押しでなのか?
「それと栄子さんは、
遊び人様が寝取って下さった、
僕の好きな女の子のキリナちゃんに似てます!
栄子さんも遊び人様好きですよね!?
女の子はみんな遊び人に恋しますし」
「いや私は遊び人に興味は…」
「ほらこれ見て下さい!
これがキリナちゃんです!」
クップくんは自分で書いた、
屈服教の経典に挟んだ写真を取り出した。
ドハワールドは中世レベルなのに、
魔法でカラー写真有るのか…
写真には茶髪で派手な格好した、
遊び人的な女が写っていた。
片思いだからかクップくんとでなく、
一人で海でだ。
「全く似てないけど?」
「いやいや!生き写しです!
性格も声もそっくりでした!」
駄目だ…言葉は通じるが、
会話は出来ない…
こうして私は普段通り、
サワイと寝たのだが…
「屈服♪屈服~♪チャラチャラチャラチャラ~♪」
「うるせえ豚!焼き豚にするぞ!」
「サワイ抑えて…」
クップくんは一晩中、
オリジナル呪文を詠唱し続け、
私はキレるサワイを押えるのに必死で、
殆ど眠れなかった…