先生の秘密
今までも私たちは、
朝は自主トレしていたが、
冒険者エンカウントしない時は、
先生のメニュー通り、
特訓する様になった。
因みに先生の食事は、
東洋龍だからか何処からともなく、
手に魚や蟹など水産物が飛んできて、
それを食べていた。
水属性だからなのだろうが、
見る度に驚く光景だった。
「うぬらも魚を食すか?」
「はい!」
「それと南蛮竜は、
今日の成果を見せる為に、
火を点けよ」
「よっしゃー!」
先生が木刀削り出すのに出たぽい、
木片にサワイは着火した。
青くはないが、
焚き火には丁度良かった。
着火したものの、
サワイは生で魚をそのまま食べ、
私は串に刺した焼き魚を、
焚き火で炙ったものを食べた。
単純だが、
最近魚食べてなかったので、
美味しかった。
「美味いか?」
「はい!」
「なら良かった」
先生が安堵した所で、
ずっと思ってた疑問が有った。
私は女の子なのに、
何で「栄子」でなく、
「大倉」と名字呼びなのだろうと。
侍ぽいキャラなら、
「お栄」とか…
私は嫁入り出来ない喪女と、
思っているのだろうか?
私はモンスター全体の妻だ!
このドハワールドには嫁いで来たも同義!
いや、教師とかも女子を、
名字呼びするか…
近いがもう少し別の質問にしよう…
「それと先生は何で、
私が女の子である事に何故、
言及しないんですか?
女騎士や女戦士はみな、
「女なのに」な目を、
男どころか他の女にも向けられ、
お固い家なら嫁入りか、
ゆるくても色恋か、
戦闘でも魔法優先させそうですが」
「うむ、その型通りな面々の多さは、
扶桑も南蛮も蓬莱も変わらぬ…
だが剣は才有るわしの娘に授け、
龍帝剣術指南役を譲ってから、
この様に武者修行の旅に出たのだ」
娘に!?
もしかして私を、
自分の娘と重ねてくれている?
いや、私にそこまで剣才無い筈…
種族もかなり違うし…
てか定年退職した父親が、
そば打ち挑戦みたいなノリで、
武者修行なの!?
剣豪としてゴールに思える、
偉い上司の武芸指南やるほど、
極めてまだ向上心!
「因みに息子には妖術を授け、
いま皇室書記官を勤めておるぞ」
娘に剣で息子に魔法!
昔ぽい龍で侍キャラな割に、
ジェンダーフリーだ…
ゴートは息子に重ねているかも?
東洋龍て結構リベラルなんだな…
水属性で体くねらせて飛ぶから、
人間より柔軟性有るのかな?
孫子で風林火山よりマイナーだが、
「兵の形は水に象る」だな!
「まぁ大倉は、
人を根絶やしにし、
あやかしの世を築かんとす大物。
龍帝陛下に続く、
二国目の君主の弟子誕生を、
正直期待してもおる…
だがうぬは、
同族の人間を憎むあまり、
我ら妖怪に逃げ、
過剰に美化している節も有る…」
「ギクッ!?まあ…図星ですが」
「うぬに今さら、
人の群れに戻れとは言わぬ…
だが我ら妖怪にも、
醜さおぞましさが有る事、
ゆめゆめ覚悟せよ」
モンスターの醜さおぞましさ!?
馬鹿な!そんなの有る訳無い!