夢と名前
「サンドワームってあの、
砂漠でキャラバンとか襲うあの!?」
「そうっす!あいつら地面から出て、
砂埃上げながら、
いきなり飲み込むんすよ!?
めっちゃ格好良くないすか!?
砂漠飛んでて見掛けて痺れたんすよ!」
「空飛べるワイバーンの方が、
格好良い気がするけど…」
するとワイバーンは、
「ああこいつもかあ」みたいな顔をした。
「分かってないな~
群れの皆もそう言うけど!
空はフワフワしてて不安なるけど、
地面はこうギューって圧迫されて、
抱き締められた様な安心感有るんすよ…
俺サンドワームになる練習してて、
地面から出たらあいつらに出くわして、
襲われてたとこなんすよ!」
私にとってはモンスター全般がそうである様に、
このワイバーンにとっては、
サンドワームが憧れの存在の様だ。
「なるけど…なら分かるかも…」
「姐御も潜りたくなったっすか!?」
「いやそこは全然わかんないけど、
私はモンスターを人間から守るために、
旅を始めたばかりなの…
同族に理解されなくても、
拘り続ける気持ちなら分かるわ」
「だからさっき助けてくれたんすね!
マジ感謝っす!」
なんだこのワイバーンも、
私と同じ変わり者だったのか…
そう考えるといきなり、
良い旅の仲間が出来たものだ。
「ところで貴方名前は?」
「名前すか!?他のワイバーンには、
『おい』とか『お前』とか『そこの』
と呼ばれてたっすが…」
「それは名前じゃないわね…
他のワイバーン出たら面倒だから、
個体名を付けたい…何にしよう?」
サンドワームに憧れているからには、
それを活かした名前にしたい…
ワームバーンは長いな…
ワームバ、ワムバも呼び辛い…
サンドワーイも楽しそうだが変だ…
「へっへっへ、
竜種で名有りは古龍や竜人くらいで、
ワイバーンには夢のまた夢だったから、
楽しみだな~」
名前が有るのは、
ドラゴンにとってはステイタスなのか、
なら良い名前にしなくては。
「サンドワーム…ワイバーン…
略してサワイってどう!?」
「おぉ!?変わった響きすが、
良いすね!気に入りました♪」
日本人としては親しみやすく、
呼びやすい名だ、
舎弟のサワイ、弟分サワイ…
本人も気に入ったなら決定だな!