主役の能力
「先ずはうぬの、
能力表を見せい」
「ステータスバーですか、
どうぞ」
「うっ!?」
先生は見てはいけない物を見た様な、
それこそグロ画像か何かを見た様な反応をし、
汗をかきながら、
私のステータスバーを閉じた。
「これで今までよく戦えたな…
特に妖力零なぞ初めて見た…
その辺の民や虫でも少しは有るのに。
異界人なら皆こうなのか?」
MP0はそこまで珍しいのか!?
ドハワールドなら誰でも、
魔力が有るんだな。
「全ての妖怪と話せるのは、
妖力関係無い能力だったのか…
もし使役妖術なら妖力が尽きれば、
式神が暴れてやられかねぬから、
そこは妖怪零で良かったのかもしれぬ」
「それアダムワールド日本から、
ドハワールドモナカ王国に来る時、
女神から貰ったスキルです!
女神は弱い能力みたいに言ってましたが、
意外と良い能力だったんですね」
「うむ、それ故本来人間と話せぬ、
下級南蛮竜や傀儡と話せるのだろう…
そしてその人斬り丸と名付けた刀、
それも未熟なうぬには相応しかった」
「えっ!?そうなんですか!?」
「うむ、固有特性が確か、
非常に頑強で折れも曲がりも刃零れせず、
研がずとも切れ味は変わらず、
鞘の特性は毎回、
血糊を残さず拭い吸うよ」
「えっ!?凄い切れ味とか、
斬撃飛ばせるとかじゃなく!?」
「並みの扶桑刀程度だ。
技量や妖力が有れば、
刃から放てたかもだが、
うぬには腕も妖力もなかろう?」
異世界でドワーフとゴーレムが作ったのに、
何て地味な特性なんだ…
そういや最初は血糊気にしてたけど、
だんだんモンスターで頭いっぱいなって、
忘れてそのまま鞘に納めて、
抜いても大丈夫だったのは、
異世界だからでなくて、
そう言う特性だったからなんだ…
今抜刀して包丁みたく、
逆さにして刃を見てみたが、
刃先が潰れたり零れたりせず、
人斬り丸は綺麗なままだ…
そういや最初ごみ捨て場で見た時、
野晒しの割に新品みたいだったのは、
柄や鍔や鞘も全体的に頑丈だったから、
劣化も色褪せもしなかったんだ!
確かに玄人の先生には、
物足りないかもだけど、
素人の私には最適だったんだ!?
ドワーフ達も扶桑刀は素人だったから、
素人向け特性付与したんだろな…
「因みにわしが今差す太刀は、
わしの爪を変化させたものでな、
これを刀鍛冶どもに見本として渡したが、
わしが納得出来る仕上がりに出来なんだ」
「つまりそれって本物の刀でなく、
刀っぽい爪ですよね?
ドワーフ達それ見せられても、
そりゃ分からなかったんじゃ…」
「ギクッ!?」
先生にも結構、
間抜けなとこ有るんだなあ…