個別指導
最初はドラゴン繋がりか、
サワイから先生に教わる事となった。
「先ずは南蛮竜、
うぬは蚯蚓になりたい様だな?
どうしても掘り進めぬ、
固い地盤に当たった時は如何ほどか?」
「仕方なく迂回してるけど…」
「我ら竜は何より炎!
わしが吐く炎なれば、
固い地盤も穿てるぞ」
「えージジイ、
城壁都市や軍勢を、
炎で焼いた事有んの?
俺は有るぜ!」
「わしは無い、
だがうぬより高温の炎なれば、
吐けるぞ」
すると先生の鬣や髭が逆立ち、
角や尻尾の鰭が青く輝くと、
口から青いレーザーの様な一閃が放たれ、
大岩に綺麗な穴が空いた。
明らかに魔法や妖術ではない、
素の身体能力で吐いた。
「ええぇええ!?
今のどうやって!?
教えろ!」
「いきなり穿とうと思うな、
先ずは青い炎を吐いてみよ、
話はそれからよ…
それとさっきから、
その口の効き方は何ぞ!?
せめて大倉に言う程度の、
敬語を目上のわしにも使え」
「先生サーセン!青い炎から吐くっす!」
「因みにわしは、
水でも岩を穿てる」
先生は今度は高圧水流で、
大岩に2本目の綺麗な穴を開通させた。
「よっしゃあ!」
サワイは岩目掛けて、
炎を吐き続けた。
先生には嫉妬しないのは、
ドラゴンとして格上過ぎるからだろうか?
「へへへ…
いつかジジイも穴開けてやるぜ!」
前言撤回、
先生にも嫉妬はしていた…
「次に傀儡、
うぬの極めんとする、
南蛮妖術をわしはよく知らぬ…
そこで…」
先生は懐や袖から、
和綴じ本や巻き物を取り出した。
「わしの東洋妖術書を貸すから、
そなたの南蛮妖術書を貸すのだ。
わしも学ばねばならん」
「分かっただ!」
ゴートとは本の貸し借りか、
仲良い父息子か、
感覚若い祖父と孫みたいだな…
「そして大倉……
大倉……」
なにこの間は!?
サワイとゴートには直ぐ、
個別の指導法思い付いたのに、
私はそんなに教えにくいの!?