苦戦の理由
「先ずはお手並み拝見と…」
しかし先生は、
ゴートより更に後ろの木陰で、
寝ているか瓢箪の水飲んでいるかで、
参戦してくれなかった。
「やべえ!今度の冒険者つええ!
金属の強化魔法掛けてて、
勝てねえ!」
「防御魔法破られるんだな!」
「先生助けて!」
「そ奴らはわしが手を貸さんでも、
うぬらだけで倒せる」
「ゴートの魔法、
効いてないんだけど!?」
「強敵でなくては、
鍛練にならぬ。
それにわしの鍛練にそ奴らは、
稽古不足」
先生は間違いなく、
私たちの最強戦力であるが、
それ故に様子見ばかりで、
中々本気を出してくれなかった。
最初有った時の冒険者は、
ドラゴニュート狩り尽くしたと言うだけあり、
かなり強かったのだろう…
「ふう…なんとか勝ったぜ…」
「どんどんオラ達に挑む冒険者、
強くなっているだ…」
「ゴートの補助魔法超強いけど、
無敵じゃないのね…」
「ほら勝てたであろう、
そなたらなら出来ると思った故、
手を貸さなんだ。
今の戦い何ゆえ苦戦と思う?」
「金属の魔法効かなくなったせいだ!」
「確かにオラの強化や防御が、
追い付かないほど強かっただ…」
「ううーん…そうかも?」
「たわけ!傀儡に責任転嫁しおって!
そもそもうぬら今まで、
傀儡の妖術のおかげで勝てたであろう?」
「ギクッ!」
「特に大倉、
うぬは妖怪を守ると言いつつ、
南蛮竜と傀儡に守られておるな?
わしが人なら南蛮竜と傀儡を引き離し、
うぬ好みの畜生姿の式神を打ち、
仕留めたやもな」
「ギクギクッ!!」
図星だった…
人間だから女の子だから、
弱いから守られて当然と、
無意識に甘えていたのかも…
「うぬは守られる姫であっても、
守る女王ではない…
先ずは三体とも基礎鍛練からぞ!」
今まで自主トレばかりだった私達、
トレーナー付きのジムパートが始まった!