栄子VS軍隊
そして翌朝も、
これまた壮絶な一日が始まった…
「むっ!沢山の兵士が、
おら達に向かって接近しているんだな…
三千は居るかも…」
「やべえ!金属の穴に、
逃げましょうぜ!」
サワイの口からで驚いたが、
ゴートのアイテムボックス内に、
避難する。
アイテムボックス内のグラウンドワールドは、
その名の通り広々とした世界だった。
空も地平線も真っ白で、
酸素や重力は有る様だ。
四万のアンデッド達が整理したのか、
膨大なアイテムは棚に綺麗に並んでいて、
理科室の様に名前分けされている。
死霊だけにアンデッド達も死体の様に、
周囲で綺麗に並んで横たわり寝ていた。
床を蹴ってみると、
強化ガラスの様に固い音が鳴った。
転んだら居たいかも知れない…
「あぁ栄どん椅子どうぞ」
「ありが…おぉ!座り心地!」
ホテルに有る様な、
革張りの一人用ソファーだった。
そして複数の転位魔法ゲートを、
モニター代わりに作戦会議を始める。
私たちを並みの冒険者では、
討伐出来ないと判断したからか、
軍隊を差し向けるとは、
ますます怪獣映画じみて来た。
「この軍隊は、
紋章からして近くの、
イイヒー侯爵が治める、
マークの街の兵士なんだな…
三千人なら、
おらの四万アンデッドで楽勝だが」
「いや数的にはそうだけど、
広範囲光魔法とかなら、
アンデッドは全滅しちゃうわよ。
死霊だけにもう少し寝かせて、
私たちだけで倒したいね…」
「俺が暴れまくって、
焼きまくるっす!」
「良いわね!採用!」
「え?採用してくれるんすか!?
風向きとか手順とかは!?」
「細かい手順は、
今から考えるわ…」
「この馬車!魔力反応凄いんだな!」
「どれどれ?」
転位魔法ゲートで、
馬車の幌内を見ると、
凄そうな魔法使い達が、
すし詰めだった。
今まで見た魔法使いとは、
面構えが違う!
「全員エルフの里で修行した、
上位水魔法使いばかりだよ!
水の精霊ウンディーネから力借りるだ」
なるほど…
私が火を吐くワイバーン使いは勿論、
ゴーレムも使うと聞いて、
通常の泥製を連想し、
水魔法特化が有利と判断したな…
だが私のゴーレムは土人形じゃない上に、
こうしてアイテムボックス内から、
一方的に索敵出来るほど、
超有能なのだ。
「良し!あいつらが陣を張ってから、
攻め込みましょう…」
「最初に水魔法使い達を、
なんとかしたいんだな…」