食べ物の味
そしてサワイはワイバーンで生き物ゆえ、
冒険者の肉を喰うのだが、
ゴーレムは魔力で動くゆえ、
ゴートの食事は魔力だった。
主に僧侶と魔法使いの死体から、
エネルギードレインしており、
魔力無い私にもモヤを吸収して見える。
「あっ!まだ食べちゃダメ!
魔法使いから、
魔力吸収し切れてないんだな!」
「うるせえ!
野生は早い者勝ちなんだよ!」
ワイバーンは群生だった為か、
サワイははみ出し者とは言え、
餌を奪い合う習性が有る様だ。
しかしゴートは部下モンスターに囲まれても、
同族のゴーレムだけでなく、
魔力を喰う他モンスター見当たらなかった。
さしずめサワイは、
兄弟姉妹多い貧乏な家庭のDQN娘、
ゴートは従者は多いが、
ひとりっ子の裕福な家庭のお坊ちゃんか?
私の両親含め、
兄弟姉妹多い者は必ず、
ひとりっ子を見下し馬鹿にする、
努力では拭い去れない、
生まれや育ちで差別する。
まるで兄弟が居れば神様で、
居なければ奴隷の刻印を押すかの如く。
もしくは物理的な事のみ羨み、
精神的な孤独は踏みにじり。
なんだ家庭環境を見れば、
ゴートのがサワイより、
私に近いじゃないか。
あの兄弟居る子に横取りされる痛みは、
私がよく知っている。
ゴートを連れ出し実戦投入して、
殺人童貞喪失させた後に、
共感出来るポイント見付かるとは。
「ところでサワイ、
魔力吸った肉と吸ってない肉って、
味に違いとか有るの?」
「えっ?特に変わらないすけど…」
「じゃあ待ってあげて」
こうして祝勝ムードで、
夜は焚き火を囲い、
私も食事する事にする。
「アイテムボックス内は時間止まって、
腐らないから食べ物も有るだが…」
「ううん、私サワイの卵が一番、
調味料ありがと」
ゴートのアイテムボックスから転移魔法で、
先ほど収納されたスケルトンが持って来た容器…
火を通したサワイ無精卵にかけると、
味が一変する!
味が無くて正直まずい、
サワイ卵や冒険者の保存食…
私はモンスターへの信仰に、
禁欲感覚でいたのだが、
いざ調味料を使うと違う!
香辛料で戦争も起こる訳だ!
私も所詮は俗物だな…
しかしこれ美味しいけど何だろ?
ゴートが持っているなら多分、
ドワーフのやつなんだろうけど…
塩?胡椒?ニンニク?七味?
どれもの様で、
どれもでない様な…
強いて言えば、
アウトドアスパイスのほりにしか?
終始アウトドアな私の冒険にピッタリだ。
「姐御何なんすかそれ?
そんなに旨いんすか?」
サワイが興味を抱き、
調味料をかけた自分の卵を、
少し舐め始めた。
「辛っ!舌がヒリヒリするっす!
姐御よくそれ平気すね!?」
ワイバーンの舌は、
高温なら平気みたいだが、
味の濃さには耐えられない様だ。