敵の使役モンスター
「姐御はそいつら攻撃出来なくても、
俺は余裕でブッ殺せるぜ!」
「駄目!そりゃモンスター同士でも、
生存競争や食物連鎖で殺し合うけど…
もうアリアドネやアンデッドみたいな、
犠牲は見たくない…」
「でもこのままじゃ、
姐御が犠牲になるんすよ!
良いんすか!?
あの人間の思い通りなっても!?」
「ふふふ…
マンティコア!ヴィーブル!
その娘から喰い殺せ!」
「解除!」
だがこの問題も、
ゴートはあっさり解決した。
魔法使い男のテイム魔法を、
解除して正気に戻したのだ。
「え?なになに?」
「あたしら何で、
こんなとこに…?」
マンティコアとヴィーブルは、
狐に摘ままれた様な表情で、
混乱している。
「逃げて!」
二頭は状況が分からないまま、
私に言われて魔法使いから逃げ去った。
「そんな馬鹿な!?ええい!
火の精霊サラマンダーよ、
我に…」
「火の精霊サラマンダーよ、
我にその業火の力を分け与え、
目の前の敵を、
世界から焼き付くさん!」
魔法使い男とゴートは、
全く同じ高威力炎魔法の詠唱を、
同時に行った。
魔法使いは人間故に舌でだが、
ゴーレムは魔力で直接詠唱する故か、
詠唱破棄に近い早さで先に繰り出し、
魔法使い男を跡形もなく蒸発させた。
異世界ファンタジーながら、
西部劇さながらの、
早撃ち対決だった。
「凄い凄い!
ゴート滅茶苦茶強いわ!
補助や解除魔法も凄い助かったし、
自分に自信持って!」
「そう言って貰えて、
嬉しいだ///」
思わず私がはしゃいで、
ゴートが再び赤面すると、
物陰から新しい怪しい影が…
「流石は兄上を、
街ごと葬った者たち…」
冒険者にも控えが居るのか…
山羊の頭蓋骨を被ったネクロマンサーは、
どうやらエマの街領主の、
トリオーダー子爵の弟の様だ。
「我が四万のアンデッド軍団で死ね!
そして貴様らもアンデッドにしてから、
加えてやる!」
すると弟ネクロマンサーの左右から、
溢れんばかりに大量のゾンビ、リッチ、タキシム、スケルトン、デュラハンが!
「しくしく」
「ハッピーハロウィン!」
「ギャー!」
不吉な泣き女バンジーや、
カボチャを被ったジャックオランタン、
更に巨大なアンデッドドラゴンの、
ニーズヘッグまで!
死霊術では兄を越えている様だ。
「解除!再使役!」
だがまたゴートは、
あっさり問題解決してしまった。
私たちを向いていた四万アンデッド軍団は、
一斉に弟ネクロマンサーを向いた。
「君の死霊術を解いてから、
オラの死霊術で操り直したんだな。
もうアンデッド達は、
オラたちの仲間なんだな」
「馬鹿な!?ぎゃああああ!」
アンデッド達は一斉に、
弟ネクロマンサーをリンチして殺し、
ボロボロなった弟ネクロマンサー自身も、
ゾンビになってアンデッド軍団に加わった。
私がやりたくても出来なかった、
エマの街のアンデッド救助を、
ゴートは簡単にやってのけたのだ!
「みんなはオラのアイテムボックスに入って、
整理整頓しといて欲しいんだな、
用が有ったら召喚するだ」
グラウンドワールドに四万を!
まじチート過ぎる!
私よりゴートのが異世界主役ぽい!