後方支援
後衛に徹したゴートは、
見違える様な強さだった…
「強化!加速!防御!」
私とサワイにバフをかけ、
先ほどの冒険者パーティにリベンジ。
早速シーフ男が、
私の喉元にダガーナイフを斬り付けた。
「?」
「?」
私とシーフ男は、
同時にはてなを出した。
ダガーナイフは私の首に、
触れてないからだ。
「!?」
シーフ男は何度も刺そうとするも、
小さな魔方陣が何度も発生し、
一度も私に届かなかった。
動体視力も強化されたのか、
素早い様で目で追える動き。
シーフ男から見れば、
私は隙だらけの、
チョロい相手なのだろう。
だが先ほど逃げたゴーレムが今は、
強固な防御結界で、
私を守っている事に、
私もシーフ男も理解に時間が掛かった。
刀であまり受けれない上に、
鎧も盾も無い私に、
この防御力は有り難かった。
ゴートは後ろに居るのにと言うより、
後ろに居るからこそ、
雌を守れている!
そして私の背後に回り込もうと、
シーフ男は走ろうとするも、
私は同じ速さで走る事も出来た。
やはりシーフ男は驚いていたが、
私自身も驚きながら追っている。
そして刀、
人斬り丸を振り下ろすと、
シーフ男をあっさり斬り払えた。
次は甲冑を着た剣士に、
踏み込んで振り下ろすと、
頑丈そうだから今まで避けていた胴を、
斬る事が出来た。
カッターで厚紙を斬る位の、
手応えだ!
更に手斧と盾を構えた戦士は、
突き出した盾ごと斬る事が出来た!
カッターで段ボールを切った位の感触だ!
ダンジョンでの盾男の盾より、
分厚く上等そうな盾なのにだ!
ようやく異世界転移らしくなって来た…
私にチート能力くれるのが、
女神でなくゴーレムとは予想外だ…
ふと横を見ると、
サワイは武闘家と腕を組み合っていた。
「ぐぐぐぐ…」
「グルルル…」
格闘漫画の強い格闘家キャラが、
素手で猛獣を倒せる様に、
ドハワールドの格闘家は鍛えれば、
素手でモンスターを倒せるのだろう…
強化魔法でバフ有れば、
尚更である…
だがモンスター側も鍛えていて、
強化魔法バフが有ったらどうか?
人間とモンスター素の性能差対決になる。
元々腕で羽ばたくワイバーン種、
しかも腕で掘削すらサワイの膂力は、
普通のワイバーンどころか、
上位のドラゴン以上かも知れない…
以前の徒歩経験的に、
足の踏ん張りは人間より弱いかもだが、
そこはゴートの強化魔法でカバーしている。
あぁでも、長々と両手両足で、
ワイバーンと人間の性能差の話をしたが、
もっと単純に人間に無い武器を持っていた。
「ガブッ!」
「!?」
人間より遥かに長い首で、
人間より遥かに大きな顎で、
頭から噛み付かれたらどんな格闘家も、
無事では済まされない。
戦闘中ゆえサワイも捕食せず、
噛み付いたまま持ち上げ、
女僧侶に投げ付ける飛び道具にした。
「きゃ!?」
二人の関係性は分からないが、
自分の最後が仲間のマッチョマンを、
ワイバーンに投げ付けられてとは、
夢にも思わなかっただろう…
「あ、でもいつも真っ先に始末する、
面倒そうな魔法使い残っちゃいましたね」
「こっちも頼れる魔法使い居るから、
大丈夫でしょ」
「くっ!だがなワイバーン使い、
貴様の弱点は分かっている…召喚!」
すると魔法使い男は、
魔方陣から二体のモンスターを出した。
顔は人面で蠍の尻尾生えた獅子、
マンティコアと、
ワイバーンに似ているが、
大きな宝石が単眼のヴィーブルだ。
「どうだ!?
モンスターを愛する貴様は、
攻撃出来まい!」
確かに私はモンスター相手では、
攻撃出来ない…