メタルゴーレム初陣
騒がしいダンジョンから出て、
暫く歩くと、
早速ゴートが話しかけて来た。
「ところで君は…
栄どんと呼んで良いだか?」
「良いわよ♪」
「えーと君はサワイちゃんだから、
サワどん…」
「ああん?まあ…」
西郷どんや吾平どん的なニュアンスぽいが、
そういう怪獣ぽい呼び方気に入った。
「お前俺と姐御の蜜月に邪魔だが、
どう見ても俺達より強そうな肌してるし、
でけえし盾には丁度良さそうだな…」
サワイはかなり酷い理由で、
ゴートを受け入れたのか!
確かに金属だから、
柔肌や鱗よりずっと、
防御力高いだろけど…
すると早速、
ゴートの腕試しとばかりに、
新しい冒険者パーティが現れた。
「このイカれアマ!
俺たちが討ち取ってやるぜ!」
「エマの街の仇だ!」
やはり焼き討ちで懸賞金上がったのか、
今までより強そうな上に多い。
剣士、戦士の前衛に、
魔法使い、僧侶の後衛だけでなく、
初めて見る職業二人も居る計六人!
僧侶以外全員男で、
威圧感が凄い!
タンクトップを着た武闘家の大男は、
筋肉凄くて如何にも力有りそうだ。
ダガーナイフを持ったシーフの小男は、
細身で如何にも素早そうだ。
シーフは盗賊の筈だが、
忍者やアサシンを連想させる。
しかし面々はドヤるのを辞めて、
ゴートに動揺し始めた。
「あれは…メタルゴーレムか?」
「ワイバーン使いが、
ゴーレムも使うなんて聞いてねえ!」
「しかもあの輝き…
オリハルコンなんじゃ…」
「まさか!?
体全部オリハルコンのゴーレムだと!?」
オリハルコンなら、
ミスリル銀、ヒヒイロカネ、ウーツ鋼と並び、
伝説の凄い金属と聞いた事有る。
扉がゴートと同じ光沢だったのは、
あの大きな扉も全部そうだからか…
そりゃモンスター沢山居ても、
冒険者血眼でダンジョン来る訳だ。
私もサワイも冒険者も、
次にゴートが何をするか、
全員息を飲んで注目した。
「冒険者!?
間近で見ると恐いんだな!」
なんと!ゴートは一番強そうなのに、
真っ先に逃げ出してしまった!