予言と出征
ゴートを連れて、
上のゴブリン集落に行くと、
ゴブリン達からも歓声が上がった。
「おぉ!?」
「ボス久しぶり!」
当然ホーブ王も喜んでいた。
「やはりボスを出してくれたか、
それとさっき魔神様から、
新たな御告げも有った…
『この世が魔王により闇に包まれし時、
女神かの地より勇者呼び、
魔王と怪物達を討ち取り、
人々に平和もたらさん』
との女神教予言は知っておるか?」
「ベタだから何となくは…」
「だがこれには、
我々魔神教徒に予言の続きが有る…
『されどこの世が勇者により光に包まれし時、
魔神かの地より大魔王呼び、
勇者と人々を討ち取り、
怪物に平和もたらさん』とな」
「それは初耳です!
魔王の上は大魔王だろうけど、
だからと言って勇者に勝つなんて…」
「そして先ほど魔神様は、
『その者そなたらのボスを、
封印から解き放せし者』
つまりそなただと!」
善悪逆転してはいるが、
私にもそんなベタな、
ヒロイックファンタジーぽい予言が!?
「あ、それ絶対私じゃないです…
私も一応女神の力で、
アダムワールドからドハワールド来ましたし…
貰った力もこうして、
貴方たちモンスターと話せるだけですし…
私物理弱くて魔力無かったし、
人類滅ぼすの夢だけど、
とても勇者に勝てる気は…」
きっと大魔王は魔神様が、
私と同じアダムワールド日本から呼んで、
強いチート能力いっぱい盛った、
異世界転移や転生らしい強い子なんだろな…
同士ぽいしせめて、
ドハワールド先に来た先輩として、
大魔王の助けになりたいな。
「それとこれが、
罠起動マニュアルなんだな」
「心得た」
ゴートはボスモンスターの座を、
ホーブ王に引き継ぎ、
ホーブ王はゴブリンだけでなく、
ダンジョン全体の王になった。
ホーブ王用の点字マニュアルだけでなく、
サテュロス用の文字マニュアルも渡した。
「ボスばんざーい!」
「大魔王様ばんざーい!」
「がんばれー!」
それからゴブリンや他モンスター達は、
引きこもりの息子に就職決まったかの様に、
ゴートを連れる私を歓迎で見送った。
いや、楽器演奏や歌や、
紙ではないだろうが紙吹雪ぽいの等、
就職と言うより出征だ!
これから私がゴートにやらせる事は、
仕事でなく戦闘ゆえに、
私は上司でなく上官なのだろう…