引きこもるゴーレム
巨大なドアが開くと、
これまた広い空間なのだが、
上のゴブリン集落と違って、
雑然としている。
作りかけの武器や防具、
材料や本が沢山積まれていて、
火が無い竈や炉や溝に、
所狭しと置かれている。
潰れた工房、作業場の印象だ…
「すいませーん!
ボスモンスターさん何処ですか~?
愚痴や悩みなら聞きますよー?」
「さっさと出て来やがれ!
出ねえと全部焼き払うぞ!
エマの街みてえになりてえか!?」
「ちょっと!何威嚇してんの?
余計恐がって出なくなるでしょ!」
私とサワイは飴と鞭、
良い警官、悪い警官と言いたいが、
飴と火炎放射器、
良い警官と爆撃機みたいな現状だ。
暫く探し回ると、
奥の机に震える影が…
世界一臆病なボスモンスターが、
見付かった。
「サワイ威嚇と炎は辞めて、
ゴブリン時みたいに暫く黙ってて…
はじめましてー!
私は人間ですがモンスター専門カウンセラーの、
大倉栄子と言いまーす!」
現状の私はワイバーン使いで、
人斬りエコテロリストなのだが、
こんな恐過ぎる肩書きでは誰も出ないので、
咄嗟に引きこもり支援しそうな肩書きを、
アドリブで名乗ってみた。
「大倉…栄子?東方種の人間なのか?」
机の横から現れたのは、
ドアと同じ光沢の金属の体の、
昆虫か蟹に似た四本脚の、
メタルゴーレムだった。
縦幅は私やサワイよりは低いが、
横幅や材質的に、
重量や質量はずっと上かな?
「そうでーす!
まあその遠くの東から、
ボスさんに会いに来ました~♪」
「扶桑国の人間?
いや扶桑に似た異世界の、
日本て国から来たの?」
「そう!そこまでよく分かりましたね、
モナカ王国の人たちは大体、
私は南から来たと思い込んでますが、
実は女神様の力で日本から来ました」
このゴーレム凄く博識だな…
サワイより地理感覚や世界観を、
はっきり認識している…
ドハワールド情報収集の為にも、
もっと話してみたくなった