ゴブリンの司祭王
四層目まで下りると、
そこは迷路でなく広場であり、
ゴブリンの高床式住居に囲まれ、
真ん中に広場と巨大石像が有った。
どうやらゴブリンの集落と、
催事場の様だった。
「王よ!例の人間を連れて来ました!」
「おぉ!遂に来てくれたか…」
現れた王はゴブリン上位種である、
ホブゴブリンだった。
ゴブリンは大人でも、
幼稚園児~小学校低学年くらいの身長で、
まさに小鬼と言った感じだが。
ホブゴブリンの王は私と同じ身長だった。
しかしゴブリン由来の筋肉量で、
横幅有り体重も倍以上有りそうだ。
あの装飾エスニック雑貨店行ったら、
再現出来るだろうか?
「余が小鬼王ホーブ、
そなたが例の人間であるな?」
「ホーブ陛下はじめまして、
私はワイバーン使いの、
大倉栄子です…」
ゴブリンの王ホーブの威厳に、
私は反射的に頭を下げたが、
昔が舞台の物語で憧れ有った、
スカート裾摘まむ挨拶カーテシーをした。
短いから足出し過ぎて、
失礼だっただろうか?
だがホーブ王をよく見ると、
豪華な杖をついて、
半人半獣サテュロスの従者が、
肩を貸していて、
瞳が無いので盲目の様だ。
盲目のイタコや、
単眼のサイクロップスがそうである様に、
障がい者のが健常者より、
神に近い信仰パターンだろうか?
金枝篇でも古代の王は、
司祭や神を兼ねると書いてたな…
でも私がお母様や老メイド養老に行かされた、
カルト宗教の教祖は、
胡散臭いだけの俗物おじさんだったな~
相談しても関係無い答えしか言わないし、
念じても私の眼を治せないし、
はっきりした教義無いライブ感で、
ああだこうだ拘り押し付けるし…
若メイド若本が、
連れてくフリして本屋、映画館、玩具店など、
モンスターグッズ有るオタクスポットに、
道を変更しなければ、
他の若い女性信者みたいに洗脳されて、
ひん剥かれて裸婦画描かれたり抱かれたりし、
ガリみたいな色のスーツ着せられたかも?
週刊誌の砲撃は間違いない…
ホーブ王みたいに心眼使う、
ホブゴブリンなら少しは信用出来たか?
「あのホーブ陛下が、
このダンジョンのボスモンスターで、
いらっしゃいますか?」
「違う、余はゴブリンのみの王で、
ボスはダンジョン全体のボスよ」
「ではあの巨大な石像が、
ここのボスでしょうか?」
「いいや違う、
石像は偉大なる魔神様で、
ボスどころか遍くモンスターを司り、
最強のモンスターを魔王に任命する権限を持つ。
魔神様>>[神の壁]>>魔王>>[任命の壁]>>ボス>>余ら亜人王>>他ゴブリン>>他モンスターと考えよ」
まさかドハワールドで、
不等号を見るとは…
「それでホーブ陛下は、
私が来ると知ってらっしゃった様ですが、
私は何をしたら良いのでしょうか?
ボスか魔神様に身を捧げる、
生け贄なれば喜んで!」
「全く違う!
実はこの下五層に居るボスは、
ボスを作ったドワーフ達を皆殺しにされ、
塞ぎ込み余らにも顔を見せなくなってな…
そなたならボスを出せると、
魔神様からの神託が下ったのだ」
おいおい生け贄の乙女と思ってたら、
引きこもり支援員かレンタルお姉さんになれと?
予想より世知辛い依頼だな…
しかも引きこもった理由が、
重過ぎる…