異世界
気が付くと私は温かな日差しの中、
原っぱで寝転がっていた。
「ここが噂の異世界…?」
以前旅行したフランスの田舎に、
似ている様な気がした。
日本の田舎とは植物や地形が違って、
山も田んぼも見当たらない…
人の手が入ってない美しい自然だ。
ふと茂みを見ると、
ごみ捨て場とおぼしき場所に、
黒い柄と鞘の日本刀が立て掛けて有った。
「そう言えば合法的に、
人を叩いたり突いたり出来るから、
剣道やりたかったけど、
母に反対されて出来なかったなあ…
せめてフェンシングやりたかったなあ…」
柄尻に赤い紐が通されていて、
鞘先はサーベルの様に金属で補強されて、
普通の刀でなく軍刀寄りだ。
刀身は綺麗だし刃零れも無いので、
ジャンスカのベルトに差して装備してみた。
すると遠くから、
何かが聞こえて来た。
「お前らやめろ~!」
「逃がすな殺せ!」
声がした道を見ると小型のワイバーンが、
二人の鎧の男に追われていた。
羽根が破けて何とも痛々しい…
冒険者パーティだろうか?
助けたいのは山々だが、
戦闘経験豊富な異世界人に、
現代日本の女の子でしかない私が、
勝てるだろうか?
取り敢えず魔法で援護している、
魔法使いの女の子を後ろから斬る!
「きゃあああ!?」
殺人処女喪失!
前のワイバーンに集中していて、
後ろはがら空きだった様だ。
「何だお前!?」
「俺たちの魔術師を!」
強そうな二人の男に気付かれた。