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悪役令嬢モンスターと人類滅ぼす  作者: 龍に本
第一章 どの悪役令嬢より「悪役」令嬢
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生け贄の乙女

しかし私は他モンスター達に、

どう写っているのだろうか?



ゴブリンが浚ってきた、

ボスモンスターらしき王に捧げる、

生け贄の乙女だろうか?



そういや伝承に出てくる、

白羽の矢が立った生け贄の娘には、

憧れたな~


娘はだいたい、

生け贄に選ばれた事を嘆き悲しみ、

悲劇のヒロイン扱いされている… 


だが私にはモンスターに命を捧げ、

血肉となる殉教は最高と思っている!



はっきり言って生け贄の乙女達は、

信仰心低い甘ちゃんであり、

正直サワイに喰われる冒険者達には、

嫉妬していたりもする…



英雄がモンスター退治して水差す、

余計なお節介伝説なるのは萎えるなあ~



いや、さっきヒーローになる危険有った盾青年は、

生け贄の乙女自ら退治しといたか…



そう思いながら進む三層目には、

これまた興味を惹かれる新モンスターが居た。



どのモンスターより、

乙女を襲うに特化したモンスター…


触手だ!



「良い!」



私も年頃ゆえ、

ネット等で大人の画像見たりし、

オークやゴブリンは人間よりはイケメンだが、

やはり一番は触手である。



「ちょっと姐御!

なに服脱ごうとしてんすか!?

交尾する気すか!?やめて下さい!」



「離してサワイ!

だって触手よ!?

絶対気持ち良いでしょ!」



ミノタウロスには無反応だったサワイも、

私を取り押さえようとする。



「やめろ馬鹿!」



「あいつは卵管刺して、

卵産み付けて苗床にするタイプだぞ!?」



「つまり触手赤ちゃんの餌にもなれる?

気に入った!」



サワイだけでなくゴブリンまで、

私を止めようとする…



「ほら触手おいで!

乙女の私が欲しくない!?」



しかし触手は青ざめ、

後退りしている。



「私、抵抗して泣き叫ぶ乙女が好きなんだニュル!

お前みたいにガッつく女は嫌いだニュル!」



「そんな!捕まえなくて良いなら、

楽でしょ!?」



「お前も肉は喰うニュル?

喰われたい家畜がお前の口に突っ込んだら、

喰えるかニュル!?」



確かに豚や牛が自ら、

口に突っ込んできて喰える人間は居ない…

鶏どころか白魚でもきつい…



私は今まで自分が喰われる事ばかりで、

喰う側のモンスターの気持ちを、

考えてなかったのか…



「じゃあ触手の横のスライムは?」



「!?」



「スライムにも駄目っす!」



「あいつは人間を飲み込んで、

溶かして喰うタイプだぞ!?」



「子どもの件は感謝しているが、

安易な自己犠牲は辞めろ!」



スライムも私に引き、

またサワイとゴブリンに取り押さえられ、

生け贄の乙女になる夢は絶たれた。

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