デレるゴブリンとミノタウロス斧
すると大人ゴブリン達も、
私を見る目が最初と変わっていた。
「ありがとう人間の娘…」
「俺たちの子どもを守ってくれて」
「俺たちだけでは、
あいつらから守り切れなかったかも」
ゴブリンが私を認めてくれた!
百聞は一見に如かず、
言葉でなく行動で示した事が、
味方の説得力になったのか…
「この人間やっぱり、
王が言ってた例の娘だな!」
「よし!王に会わせるから、
ついてこい!」
「お前らどけどけ!
この人間は王に会わせる!」
ゴブリン達はダンジョン内で、
一定の権力が有ったのか、
蝙蝠や虫やキノコなどの、
他モンスター達は驚きながら避け、
連れられた私たちはどの人間より、
楽にダンジョンを進む事が出来た。
二層目に行くと、
神話ではダンジョン主の筈のミノタウロスも、
他モンスターと並んで驚いていた。
「あ、ちょっと待って、
ミノタウロスに前から聞きたかった事有るの」
「なんだ!?」
ゴブリンとサワイに待ってもらい、
私はミノタウロスに近付いた。
「あの…ミノタウロスてだいたい、
斧持っているイメージ有るけど、
その斧何処で入手したの?」
現に目の前のミノタウロスも、
逞しい腕で両刃の巨斧を担いでいる。
「あーこれ?やっぱ斧に見える?
実はこれ斧じゃないよ。
俺の体の一部」
「えぇ!?」
アダムワールドでは、
元になったクレタ島ミノア文明で、
生け贄の牛の首斬る由来だが、
これはミノタウロス元ネタであって、
本人が装備している理由にならない。
神話ではグレた私生児ゆえ、
蚩尤みたいに自作した器用さは疑わしく、
サイクロップスなど鍛冶モンスター製と思いきや、
まさかの新説!
知能低い獣人モンスターなら、
体の一部が一番自然か…
私に気さくに説明する知性は有るが…
「頭が牛なのに肉食の理由は?」
「歯や内臓は人間寄りだからかなあ…
実際雑食なんだけど、
お肉美味いじゃん!」
他モンスター達も、
意外な秘密を話してくれそうだ。
ダンジョン楽しいなあ~
冒険者には宝と経験値の稼ぎ場だろうが、
私にはイケメンしか居ない男子校の文化祭に、
訪れた様な感覚だ。