口説き辛い相手
「私は人間だけど、
人間からモンスターを守る旅をしているの、
だから私を人間でなく、
ゴブリンとでも思って欲しい」
「わけ分からん事言うな!」
「人間は人間だろ!」
「罠か!?俺たち騙そうってか!?」
まあそりゃそうか、
ダンジョンに毎回攻め込まれては、
人間への猜疑心はそうそう、
拭い去れないよなあ…
「この女もしや、
王が言ってた例の人間じゃ?」
「いや!そんな訳有るか!」
ゴブリンの王様とやらは、
私を知っているのか?
まだ疑われているので、
私の立場を当て嵌めで説明しよう…
「ほら人間が使役するモンスター見た事無い?
私はその逆で、
このワイバーンに使役されている人間なの」
「ワイバーンのペットだと!?」
「益々訳分からん!」
「古龍や竜人ならまだしも、
飛竜に人間が飼えるか!」
しまった良いミラーリングと思ったが、
余計ゴブリン達を混乱させた。
「姐御そろそろこいつら、
焼いて良いっすか!?」
「ダメ!ゴブリン倒したら私、
他の人間と一緒になるでしょ!?」
苛立ち威嚇し始めたサワイも、
なんとか止めねばならない…
前門の小鬼、後門の飛竜だ。
両方の板張りになっていると、
誰かがダンジョンに入ってきた。
普通の冒険者だ。
「おっ!ワイバーン使役とは珍しい…」
「あんたもゴブリン討伐に来たんだな?」
若い優しそうな青年と、
僧侶のお爺さんの二人組…
ゴブリンの敵、私の敵だ!
口ぶりからして、
私の手配書を見てない様だ。
「な、なんで俺に剣を向けるんだ?」
「手柄を横取りする気か?」
「見てわからない?
私は彼等モンスターの味方で、
貴方達の敵」