着たかった服
今度は町ブラし、
ショッピングモールに寄った。
子供服売り場で、
ふと疑問を抱いた。
「ところで京ちゃん、
女の子よね?
好きで男の子の格好しているの?」
「ううん…ちちうえが、
ぼくはめがみさまのとくべつだから、
おとこのこでなきゃいけないって…」
女神の特別なのに男装!?
どういう理屈だ…?
一人称まで強いているのか!?
「京ちゃんは女神様と、
話した事有るの?」
「ううん、ちちうえしか、
めがみさまとしかはなせないよ…
ははうえとあにうえもはなせない」
なんじゃそりゃ!?
全部バプテスマの妄想なんじゃ…
下手したらバプテスマ自身も、
その場のノリだけで、
教義決めているんじゃ…
「じゃあ服も好きなの買ってあげるから、
着たいの選んで♪」
「やったあ!ほんとはぼく、
かわいいふくきたかったの️」
ドハワールドでも勇者は、
男装しか見てなかったが、
バプテスマと女神に強いられ、
無理してしたくない姿続けた点は、
共通しているな…
勇者はスキップしていたが、
ふとベルトコーナーを見て止まり、
うずくまった。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい…
もうしませんもうしません」
カルト宗教は愛の鞭と称して、
ベルトで子どもを折檻すると聞いたが、
無敵家の女神教もそうなのか!?
「大丈夫大丈夫、
京ちゃん何も悪くない悪くない…
ベルト無いこっち行こ」
なんとか幼い勇者をあやし、
ようやく指差した服を選んだ。
「そう言えば京ちゃん、
一人で服着れる?」
「うん…からだみないでね…」
やはり鞭の跡が有るのか?
自分の一万倍斬撃や、
世界を滅ぼす毒に耐え、
全身刻まれても再生した、
ドハワールドでの頑強さとは正反対だ…
いや、修行と称して、
ドハワールドでもバプテスマに、
あの鞭になる十字槍で、
似た事をされていたのかも?
こうして勇者が着た服は、
羽根の様なフリルが沢山付いた、
ドレスだった!
デザイナーは天使をイメージしただろうが、
私にはやはり羽毛恐竜に見えた。
「すごいかわいい!ぼくじゃないみたい!
たのしすぎてゆめみたい!」
「違うよ京ちゃん…
今の可愛い女の子が、
本当の京ちゃんだよ♥️
辛かった事が夢で、
楽しい今が現実なんだよ♥️」
厳密には私の夢だが、
夢の中ではせめて、
勇者を幸せにしたかった。
てかこの子ども服屋のレジ会計…
バルバトス王人間態だ!
他店員も魔族人間態!
確かに女の子の服詳しいだろが…
仇敵の勇者に売るのも凄い…
ベルゼバブ王人間態が店長か?
バルバトス王て男の服着ても、
割とフェミニンなんだな…
こうして勇者は誰より敵対した、
魔族のおかげで、
お洒落に目覚めた。