一番好きな姿
そして世界征服、戦勝記念の、
式典が怪京で開かれる事となった…
私は祝う気分ではないのだが、
頑張って戦ってくれた怪物の騎士団、
それを兵站で支えた怪物の臣民に、
ご褒美のパーティー儀式は必要だ。
ケイン参謀が司会進行し、
初めの挨拶は話が長そうな、
先生やゴートではなく、
回復して手短なサワイにさせた。
『それじゃあ記念に、
新しく造った銅像お披露目だ!
俺が姐御の、
一番好きな姿を描いて、
作らせたっす!』
サワイが一番好きな私!?
裸か!?
知らない別亜人裸婦像はまだしも、
自分の裸ずっと晒し物は、
恥ずかし過ぎる///
確かに勇者像が有った台座に、
なんか幕掛かっているなと、
思っていたが…
『それではどうぞ~!』
ケイン参謀の合図で、
幕が下ろされるとそこには、
懐かしい光景が…
「これは…ダンジョンの時の?」
それはゴートダンジョンで、
私が盾青年を倒して、
ゴブリンの子どもを気遣い、
両膝付いて目線を合わせたとこだ。
サワイは確か、
母ちゃんみたいな顔と言ってたな…
あの時サワイから見たら、
私こうだったのか…
「姐御ずっと、
守れなかったモンスター引きずるっすが、
それより多くのモンスター守った事、
事実持って下さい!」
勇者を倒して、
落ち込んでいた私を、
励ましたかったのか?
「ありがとサワイ…
とても良い私像ね…」
「へへへ!」
すると像のモデルになった、
ゴブリンの子ども二人も来ていた。
「おねえちゃーん!」
「ぼくらおおきくなったら、
かいぶつのきしだんはいって、
こんどはおねえちゃんをまもる!」
「ありがと…楽しいにしているわ。
さて式典終わったなら、
その辺に落ちているゴミ拾うわ」
「えぇ!?」
「この後、
大魔王陛下が歌って踊る、
ライブ予定してましたが」
「初耳よ!
練習した覚え無いのに、
出来るわけ無いでしょ!」
「ベルゼバブ王や勇者は銅像完成式典で、
練習無しで歌って踊りましたが…」
さすが旧魔王と勇者…
カリスマ性が違うな…
きっと他の転生者も、
上手く歌って踊るんだろな。
「だとしても出来ない!
ゴミ拾いが今私に出来る事なの!」
確かにアイドルの様なライブなら、
派手で心理的、経済的効果大きい…
でも私は地味でも、
物理的な汚れをなんとかしたい…
「強化魔法なら、
歌や踊りなんとかなるだが…」
「それだと私が、
歌って踊った事にならないでしょ!」
「掃除なぞ下々の、
部下にやらせれば良かろう…」
「ケイン参謀もゴートも先生も、
分かってないわね~
大魔王の私が掃除するからこそ、
民も幹部も皆やるんでしょ?
それに大魔王が掃除した場所、
わざわざ汚す度胸有る者居る?
お腹空いたなら皆、
先に室内立食パーティー行きなさい」
「や、やります…」
「栄どんだけ、
掃除させる訳にはいかないだ」
「なるほどそれが、
うぬのしらす王道か…
花より根の大倉らしい」
「姐御今の掃除する姿も好きっす!
焼却と埋めるのなら、
任せるっす!」
「キッキッ!掃除でも最強キ!」
こうして汚す側だった、
コボルトやサスカッチも含め、
掃除パーティーが行われた。