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悪役令嬢モンスターと人類滅ぼす  作者: 龍に本
第四章 恐ろしき破壊者
230/263

望まぬ勝利

「あああ…」



ドハワールドが私の手に墜ちた、

魔法の鏡映像を見て、

勇者はウニゴーレムを見る様な、

怯えた目で私を見始めた。


今の精神攻撃で、

HP1→0.1にまで削れた。


文字通り瀕死、虫の息だが、

勇者でもモンスターを殺す事は、

私の本意ではない…


最後の口説きだ!



「わかった?

これで貴女が守り続けた、

人間も世界も無くなった…


もう無理しなくて良いの…


この解毒剤飲んで、

私のとこに来て」



怪物の騎士団は、

勇者に仲間や家族を殺され、

復讐心に燃える筈だが、


大魔王である私の口説きに、

異を唱えなかった…


女神の呪詛にすら耐えている勇者は、

この絶望的戦況すら、

ひっくり返しかねない、

不安が有るのだろう…



「私にとってドハワールド征服は、

通過点に過ぎない…

まだ予定の1/3でしか無いの…


この後ギャレワールドに攻め込み、

貴女を苦しめ続けた女神を倒し、


アダムワールドに戻って、

私の元同族達を滅ぼして、


三界を怪物帝国にする…


その為にも勇者!

貴女に協力して欲しいの!


おねがいおねがい!


いっそアダムワールドは、

貴女にあげても良い!


貴女が生まれ育った、

懐かしい白亜紀に戻しても良い…


だから…私と一緒になってキョウ…

うっうっ…」



私は泣きながら、

弱ったキョウの顎を抉じ開け、

抗女神反転剤の解毒剤を、

捩じ込んで飲ませようとする…


だがキョウは吐き捨てた。



「駄目だ…君が僕を、

求めてくれていても…


勇者ってのはね、

僕一人の意思でなったり辞めれる程、

軽い称号じゃないんだ…


ドハワールドの人々を護れなくても、

女神様やアダムワールドの人々は、

護らなきゃいけないんだ…」



あぁこの恐竜は、

悲しいまでに勇者なんだ…


自分の幸せより、

使命を優先するんだ…



「だからせめて最後は、

大魔王に屈しなかった勇者として、

死なせてくれないか?


君にトドメを刺して欲しい…


ああそうか…この姿では、

僕を殺せないんだったな…」



勇者キョウはフクイラプトルから、

最初出会った頃の人間態になった…


MP0→マイナス1.0に!


私が何度もイメージの中で、

刃を振り下ろした姿に…


でも突き立てた人斬り丸は、

透明な結界が有るかの様に、

寸前で止まって動かない。



「殺せ!勇者を殺すのだ!」



「やめて!栄子お姉ちゃん!」



怪物帝国1過激派の先生と、

怪物帝国1穏健派のラピスちゃんが、

同時に絶叫する…



だが私は人斬り丸を地面に突き刺し、

勇者の体をバルバトス王の元に、

投げ込んだ。



「えっ!?」



「えっ!?」



勇者もバルバトス王も他魔族も、

私が何をしたのか分からなかったが、


バルバトス王は勇者が何をしたのか、

思い出して全力で攻撃魔法を放ち続けた。



「うわあぁあぁあ!?」



こうして私は、

またモンスターを救えなかった。


また恐竜は滅びた…



「なるほど…勇者は父の仇ゆえ、

稚子には仇討ちする権利が有る…


大倉、上手い逃げ方をしたな」



先生が言った事は、

全くもってその通りだったので、

何も言い返せなかった。

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