逆転劇
だが王道熱い王都セリザーに、
突如横槍が入った…
私には見覚え有りまくる…
怪物の騎士団!
「グッヘッヘッヘ!」
「きゃー!?」
「わー!?」
ゴブリンやオーク達は栄系四七で、
勇者を応援していた人々を虐殺し、
オーガはメイスでどんどん、
建物を取り壊している…
私と勇者の傍に、
カノー王が投げ込んだのは、
レン若王の首…
オーベロン王が投げ込んだのは、
戦士グッドフェローの首…
ゴートが転位させたのは、
魔法使いドルゼの首…
先生が投げ込んだのは当然、
司祭バプテスマの首だ!
「えっえっえ?みんな!?」
勇者の金色の光は無くなり、
動揺して地面の首を見渡す…
突然の出来事に勇者キョウは、
何がなんだか分からない様だ…
そうだ…あらゆる物語のラスボスは、
いくら強くても配下はほぼ全滅し、
人々の想いを背負ったヒーローに敗れる…
だが私の配下は、
殆ど残っている!
勇者は私への惚れた弱みで、
ベルゼバブ王戦の様に、
仲間と下から順番に撃破する、
冒険の基本を忘れていたのだ!
「残念ね勇者…
皆の想いを背負っているのは、
大魔王も同じだったのよ。
しかも人間達と違って、
自分たちでも戦う気遣え有る…」
そもそも「頑張れ」「負けるな」とは何事か?
勇者はお前達の誰より頑張ってんだよ!
むしろ頑張ってしかいない!
せめて「無理するな」「休め」
と気遣え!
画面や舞台の向こうならまだしも、
目の前に居て応援だけとは何事か?
守られている立場で、
何でそんな命令形なのか?
お前ら勇者に頼り過ぎなんだよ!
だから追い詰められたんだよ!
これが勇者に恩返しする為に、
一人でも私に直接挑んだら…
勇者を助けるために、
一個でも私に石を投げたら…
そんな勇気が有ったら、
見逃す事も考えたのに…
若本が私への様に、
助けなくなかったのに…
お手軽扶桑式妖怪変化で、
怪物帝国の民として、
受け入れなくもなかったのに…
「よくもみんなを!
ようやく分かり合えたのに…
僕一人でもお前達モンスターを、
皆殺しにしてやる!」
「勇者本当にごめんなさい…
私の卑怯卑劣な奸計は、
まだ有るの」
「栄子お姉ちゃん!」
ラピスちゃん女王が投げ込んだ物を、
私は口の人斬り丸でバッティングし、
勇者の口に放り込んだ。
すると勇者の体が、
ガクンとバランスを崩し、
倒れ込んだ…
「なんだ!?薬か?
僕に効く毒なんて、
この世に有る筈が…」
「そうよ勇者キョウ…
貴女の体内はくまなく、
女神の祝福が行き届いて、
貴女を無敵たらしめている…
ヴァースキの世界を滅ぼす毒や、
ウニゴーレムで切り刻んでも…
だから私は女神様に、
貴女を倒してもらう事にした」
「なにい!?どういう意味だ!?
何で女神様が僕を…!?」