仔ボルト
今までチマチマ冒険者を襲ったが、
街一つ滅ぼしたなら懸賞金上がり、
更に強い冒険者達が討伐来る事が想定される。
二頭目メンバー急務ゆえ、
私たちはサワイの穴中で冬眠みたく寝つつ、
ダンジョンに向かう事にした。
「きゃっきゃっ!」
するとはしゃぎ声と共に、
じゃれ会う二匹のコボルトの子どもを見つけた。
「か!可愛い過ぎる!
仔犬だ!」
絵本などでよく見掛ける、
直立して上半身だけベスト来た、
チワワぽい子も非常に可愛い。
だが四足歩行でいて言葉を喋る、
豆柴に似た子が特にタイプだ。
二匹の関係性は全く分からないが、
可愛い事だけは分かった。
私は獣人のケモ度には拘り有り、
見た目が完全な獣だが、
人間並みの知能と言語力有る聖獣タイプが、
より動物と話せている感がして好きだ。
まあ女神がくれた会話能力で、
全てのモンスターが聖獣タイプとなり、
区別は出来なくなったが。
現にサワイがそうだ…
私は冒険者から奪った干し肉を取り出した。
味付けなくてあまり美味しくないが、
動物に人間の食べ物を与えてはいけないので、
コボルトには丁度良いかも知れない。
「おいでおいで…
美味しいお肉だよ…♥️」
「ゴギャアアアアア!」
「!?」
だが私の後ろで威嚇する、
サワイを見てコボルト達は、
一目散に逃げ出してしまった。
「なんて事するの!?
あんな可愛い子たちを!?」
「だってあいつら遠吠えしたら、
直ぐ可愛いない大人が集まるんすよ!?」
「可愛いくない大人?
つまり格好良い感じ?
なら尚更見たいんだけど…」
「ダメっす!
あいつら一匹ずつは弱いけど、
群れたらドラゴンも狩れるらしいすよ!
パーティ組むのは人間以上だから、
俺らなんてひとたまりもないすよ!」
これが本当のモンスターペアレントか!
女の子と仔犬だから平気な気がしたが、
初対面の子どもを食べ物で釣るて、
滅茶苦茶不審者だったな…
そういや猿は元々群れの狩り出来なかったのが
人間は出来る様になったのは、
後に犬になる狼に教わった説も有ったな…
人間にとって犬は相棒やペットだけでなく、
集団戦の師匠だったのかも…
いやそれよりサワイはもしや、
アリアドネの件も含めて、
他のモンスター全員遠ざけて、
私を独占し続けるつもりなんじゃ…
紋章学はモンスターのとこ面白くて調べたが、
ワイバーンの意味は「強い敵意」「嫉妬」
なるほどサワイはまさにワイバーンだ…
「せめて威嚇は、
攻撃されてからにして…
これじゃどのモンスターも守れない…」
「嫌です!攻撃始まったら、
もう手遅れっす!」