宙を舞う平和と刃
なんて夢だ…
最初悪夢と思ったら、
だんだん楽しくなった…
人外のままは、
鶏と樹モンスターだけだが、
皆ドハワールドからアダムワールドに、
転生してくれて…
首高にモンスター人間態達が居たら、
私は人間嫌いにならなかったかも…
滅ぼそうと思わなかったかも…
「特に勇者…」
夢では敵対せずに、
私に味方してくれたなんて…
『そうなのか…そうだったのか…
僕はこのドハワールドでなく、
君が居る遠い未来に、
転生したかったな…』
あの時言ってた、
アダムワールド白亜紀から令和、
6600万年の時を越えて、
私に会いに…
『みんな危ない話はやめて!
勇者様とも一緒に仲良くしよ♪』
『栄子お姉ちゃん!勇者様!
もう喧嘩は辞めようよ!
みんな勇者様を殺す事ばかり…
こんなのやだよぉ…』
ここで勇者と共に強烈に、
ラピスちゃんが脳裏に浮かぶ…
ラピスちゃんの和平案が、
狂おしく本当に本当に欲しくなる…
なぜ平和への道は、
いつも戦争か?
さっきの夢は私の内心と同時に、
勇者とラピスちゃんの、
願いでも有ったのだろう…
だが現実の勇者は、
私の傍で寝ているサワイを、
殺そうとしている…
サワイを守るためにも、
勇者を殺さなくてはいけない…
朝起きて歯を磨き顔を洗い、
自主練とパトロールに、
人斬り丸を背に怪京城内を走る…
中央広場に行くと朝日前ゆえ、
吸血鬼や魔女は帰宅する時間で、
コボルトはまだ徘徊している…
今となっては取り壊されて、
台座のみとなった勇者像跡が虚しい…
いつも人斬り丸素振りは、
勇者の顔を浮かべていたが、
今日は浮かべると手が止まる…
なんとか振り払い、
兜を割る練習をする…
いつも勇者の頭を浮かべたが、
あのフクイラプトルの頭…
さっき助けてくれた、
夢の優しい生徒会長が浮かび、
普段ほど斬り込めなかった…